“国産なのに手ごろでおしゃれな腕時計”として人気のブランド「Knot(ノット)」の戦略にはマーケティングに重要なポイントが凝縮されていた! ドミノ・ピザ ジャパンCMOの富永朋信氏がノットの遠藤弘満社長と対談し、4回に分けてその秘密に迫る。第1回「手ごろな国産腕時計『ノット』、意外な誕生の秘密」、第2回「創業1年以内に『ガイアの夜明け』に出ると決めてました」に続く第3回。

“国産なのに手ごろでおしゃれな腕時計”として人気のブランド「Knot(ノット)」
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富永: これまでの話は遠藤さんのビジネス黎明期、初動期のマーケティングでしたが、もうちょっと先に進みたいと思います。どんなヒット商品でも最初はどんな人が買ってくれて、そこからブームが広がってみたいなポイントがあると思いますが、Knotに関してはいかがでしょうか。

若者が腕時計をしないのは「いい出合い」がないだけ

遠藤: まず、これは自分の歩みに通じるんですけど、社会に出たばかりの新人のとき、ある先輩に「遠藤、つり革レースで一番になれるくらいの男になれ」と言われたんですね。つり革レースって何かというと、電車でつり革につかまると腕時計が見えますよね。その車内で一番いい時計を着けられる男になれと。もう二十数年前の話ですけど、いまだに覚えていて、Knotを始めるときにそのスイッチが入ったわけです。

 それくらい、男性にとって腕時計は特別な価値があるものだと。思い出だったり、ステータスシンボルだったり、腕時計って男性にとってはそういうものだったはずなんですが、今電車に乗っていても、若いビジネスマンだと腕時計をしてない人のほうが多いんじゃないですか。自分は「いい腕時計をしたい」ことを1つのモチベーションに頑張ったわけですけれども、今の若いビジネスマンたちに腕時計のそういう価値を感じてもらえていないことを、すごく寂しく感じて。

 でも若い人に「腕時計は欲しくないの?」と聞くと、「欲しい」と答える人が意外に多いんです。私、会社の裏にある成蹊大学の経済学部で年に2回講義をするんですが、「腕時計欲しい人!」と言うと、ほぼみんな手が挙がるわけですよ。「じゃあ、なんで買ってないの」と聞くと、「高いから」「ダサいから」。つまり、いい出合いがないだけなんですよね。

Knot(ノット)の遠藤弘満社長は1974年東京生まれ。米国特殊部隊用腕時計「LUMINOX」を日本に定着させ、「SKAGEN」「noon」「BERING」といった北欧ブランド時計を年間20万本の市場へと成長させたウオッチプロデューサー。2014年、「Knot」を創設
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