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 ルイジアナ州ニューオーリンズに本拠地を置くニューオーリンズ・セインツは、アメリカンフットボールの最高峰、NFL(National Football League)の32チームの1つだ。2017年8月19日に公開される『ギフト 僕がきみに残せるもの』は、2011年1月に難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断されたセインツの元スター選手が、生まれてくる子どものためにと撮影を始め、4年にわたり撮影した約1500時間におよぶビデオレターで構成したドキュメンタリー映画だ。

 ALSとは「Amyotrophic lateral sclerosis」の略で、米国ではMLBの人気選手だったルー・ゲーリッグがこの病気にかかったことから「ルー・ゲーリッグ病」とも呼ばれる。体の筋肉が徐々に動かなくなるのが特徴的な病状だが、筋肉の病気ではなく、脳や末梢神経からの命令を筋肉に伝える運動ニューロン(神経細胞)が侵され、徐々に体の自由が奪われていく病気だ。

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 ALSを題材とした映画は、スティーブン・ホーキング博士の半生を描き、主演のエディ・レッドメインがアカデミー賞主演男優賞を受賞した『博士と彼女のセオリー』(2014年)、ALSを発症して余命いくばくもないヒロイン(ヒラリー・スワンク)と介護する女子大生(エミー・ロッサム)との友情を描いた『サヨナラの代わりに』(2014年)、ALSを発症した36歳の主人公(フロリアン・ダーヴィト・フィッツ)が尊厳死を求めて友人たちと旅をする『君がくれたグッドライフ』(2014年)など、ここ数年だけでも印象的な作品が公開されている。どれも感動作だが、主人公のALS患者は俳優が演じている。

 ALSを発症した本人が病と闘い、懸命に生きようとしている姿を映画で見たのは、実は筆者は初めてだったが、この映画はこれまで見てきたどのALS映画とも明らかに違う。この映画は、ALS発症という“絶望”と、子どもの誕生という“希望”の2つを、実録により描いた作品なのだ。

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