神木をはじめ、キャスティングにはおおむね好意的なファンが多い

(C) 2017 映画「3月のライオン」製作委員会
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 前後編を見終わって、まず感じたのが、原作の持っているメッセージ性をしっかりと踏襲し、それを丁寧に映画化した詩情豊かな作品に仕上がっていること。そんな映画の成否を大きく左右しているのがキャスティングだ。コミックの実写化では、原作が人気であればあるほど、批判される確率も高くなる。前述『ハチミツとクローバー』の際は、キャスティングで賛否両論が起き、映画の評価自体も分かれた(さらにその後のドラマ化でも賛否が分かれた)。

 その点、本作ではおおむね好意的なファンが多いようだ。とりわけキャスト発表時ではなく、実際に試写会などで完成作を見た人の感想では「適役」「はまっている」「最高のキャスト」「原作をリスペクトしている」など、おほめの言葉が多く並んでいる。

ハマり役と評価の高い、主人公桐山零を演じる神木隆之介 (C) 2017 映画「3月のライオン」製作委員会
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 なかでも見事に役を演じ切っているのが、主人公・零役の神木隆之介だ。黒縁メガネをかけたビジュアルもそっくりだが、それだけではない。大友監督はプロジェクトの初期段階でプロデューサーから「桐山零役は誰がいい?」と聞かれた際に、即座に「神木君」と答えたという。その理由について「ビジュアルもありましたが、やはり神木隆之介と桐山零の『子どものころからプロだった』というプロフィールが重なり合うことが大きかった」と述べている。試写を見てから「はまり役」だと感じた人の中には、そうした神木の役作りや演技に魅了された人も多いだろう。

誰か分からないほどの染谷将太のなりきりぶり

一見誰だか分からないほどの特殊メイクで、桐山のライバル二海堂晴信を演じる染谷将太 (C) 2017 映画「3月のライオン」製作委員会
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 また、ビジュアルが発表された際に大きな話題を呼んだのが、特殊メイクを施して丸々とした二海堂晴信役を演じた染谷将太だ。そのなりきりぶりも素晴らしく、何の情報もなく二海堂の登場シーンを見た人は、きっと演じているのが染谷だと気づけないだろう。

 うれしいのはその神木と染谷という、若手の中で頭ひとつ飛び抜けている演技派同士の共演シーンが結構多いこと。決して演技と演技がぶつかり合うような手に汗握るシーンではない。二海堂がコミカルなキャラということもあって、むしろにんまりと笑わせてくれるシーンが中心だ。原作と比べて少々シリアス度が高まっているこの映画の中において、2人の共演シーンは一服の清涼剤のような役割を果たしている。

 なお、余談だが、二海堂という役柄は、昨年、松山ケンイチ主演で映画化された『聖の青春』の主人公・村山聖がモデルになっている。