もう少し物語にひねりが利いていれば

(C) 2017 フジテレビジョン 東宝 ホリプロ
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 惜しむらくは、『プリンセス トヨトミ』にはそうした設定の面白さとは別に、観客に伝えるべき魂のようなものがしっかりと描かれていたのと比べると、本作にも物語はあれど、何を伝えようとしているのかがなかなか見えてこないこと。

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 実は繭子は職を失ったがために恋人からのプロポーズに安易に応じてしまったため、信長との出会いを通じてもう一度、自身の足でしっかり歩いていこうとするというテーマは存在する。しかしそれだけではやや弱いように思える。このテーマの弱さは『プリンセス トヨトミ』が万城目学という人気作家の原作を映画化したのに対し、本作がオリジナルストーリーであるゆえんかもしれない(もちろん、オリジナルでも素晴らしい作品はいっぱいあるが)。

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 ただし綾瀬は『プリンセス トヨトミ』同様、コメディエンヌぶりを発揮。堤も『プリンセス トヨトミ』で演じた骨太の男に続き、男らしい信長を好演している。それだけに、もう少し物語にひねりが利いていれば、さぞかし面白くなったことだろうと、やや残念な思いがした。

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『本能寺ホテル』
監督:鈴木雅之
出演:綾瀬はるか、堤真一、濱田岳、平山浩行、田口浩正、高嶋政宏、近藤正臣、風間杜夫
配給:東宝
公開日:1月14日より全国東宝系にて公開
『本能寺ホテル』公式サイト

プロフィール

安部 偲

早稲田大学を卒業後、演劇活動を経てフリーライターとなり、映画とネットビジネスを中心に執筆。著書に「映画監督になるということ」(演劇ぶっく社)、「eビジネス用語 早わかり事典」(日本実業出版社)がある。2001年、有限会社キッチュを設立。現在、映画情報サイト「MOVIE Collection [ムビコレ]」や、アイドル支援サイト「アイドルcheck!」などを運営中。