写真の視覚効果を大きく決定づけるのが露出だ。ボケ味を決める絞り、静~動を左右するシャッター速度、そして両者によって露出(明るさ)が決まる。ほとんどのカメラは自動露出で撮影できるが、絞りやシャッター速度を自分の意思で設定できるカメラも多い。せっかくその機能があるのならば使わない手はない。露出を決めるプロセスは思いのほかシンプル。ちょっとしたお約束さえ覚えてしまえば、多彩な表現が自由自在になるはずだ。

 今回は絞り、シャッター速度、その両者の組み合わせによる露出という三大表現要素について説明する。絞りや露出の話は連載の1回目「明るさや色、ボケを自在に操れば、何気ない街の風景が“作品”に変わる」でも説明したが、とても重要なポイントなのでさらに詳しく、そして分かりやすく説明しよう。

 最も写りに影響するのが絞りだ。絞りとは、レンズを通過する光の量を調節する機構。絞りを開けると光の量が増えるとともに、表現効果としてはピントの合う範囲が狭くなる。つまり、ピントを合わせた部分の前後がボケて写るようになる。反対に絞りを絞ると、手前から奥まで深くピントが合う。ボケの大きさはセンサーの面積(広いほど大きい)やレンズの焦点距離(長い=望遠ほど大きい)、さらには被写体との距離(近いほど大きい)でも変わってくるが、最終的に調節をするのが絞りというわけ。そのため、どの範囲で調節できるのか、とりわけどれだけ開けられるかが重要になる。絞り込んだときのピントの深さは、ある一定以上を超えるとそれほど見た目に影響しないが、開けたときのボケはかなり変わってくるからだ。

 今回、作例の撮影に使用したキヤノンの「PowerShot G5 X」を例にとると、レンズ前面に「8.8~36.8mm 1:1.8~2.8」と記されている。これは、広角端(8.8mm=35mm判換算で24mm相当)ではF1.8、望遠端(36.8mm=35mm判換算で100mm相当)ではF2.8がもっとも絞りを開けた状態ということになる。露出モードをAv(絞り優先AE)モードにすれば絞りを自在に設定できるので、ボケを生かしたいときはなるべく絞りを開けてみよう。反対に、広角端ならF2.8、望遠端ならF5.6くらいまで絞れば、かなりピントの深いシャープな写真を撮ることができる。

小型軽量ボディーに明るいズームレンズを搭載したキヤノンの「PowerShot G5 X」。さまざまな露出モードを備え、撮影者の意図を反映した撮影が可能だ。実売価格は8万6000円前後
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PowerShot G5 Xは、レンズの前面に「8.8~36.8mm 1:1.8~2.8」と記されている。これは、レンズの焦点距離や明るさを示すデータだ
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広角でも近寄れば大きなボケが得られる。ボケ味そのものも自然で美しい。地面すれすれにカメラを構えて撮影したが、こういうときはバリアングル液晶が重宝する(24mm相当、ISO125、1/250秒、F1.8)
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秋に花が咲くコブクザクラ。望遠端+近距離では大きなボケを得ることができる。これはスマホの内蔵カメラではちょっと表現できない部分だ(100mm相当、ISO1250、1/200秒、F2.8)
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ボケといえば被写体の背後を連想しがちだが、手前にボケを置く手法もある。背景をボカすよりアレンジがしやすく、さりげなく奥行き感を生み出す効果もある(42mm相当、ISO125、1/250秒、F2.5)
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