牛乳や乳製品を中心に展開するタカナシ乳業グループのタカナシ販売が2017年10月27日、「TAKANASHI Milk RESTAURANT(タカナシミルクレストラン)」をみなとみらい東急スクエア3にオープンした。「ミルクのプロとして培ってきた強みを生かし、ミルク本来のおいしさを(タカナシ乳業の)地元である横浜から発信していきたい」と、同社営業推進部の杉山充幸部長は話す。

2017年10月27日にオープンした「TAKANASHI Milk RESTAURANT (タカナシミルクレストラン)」(みなとみらい東急スクエア3)。営業時間は11~15時(ランチタイム)、15~17時(カフェタイム)、17~23時(ディナータイム)
2017年10月27日にオープンした「TAKANASHI Milk RESTAURANT (タカナシミルクレストラン)」(みなとみらい東急スクエア3)。営業時間は11~15時(ランチタイム)、15~17時(カフェタイム)、17~23時(ディナータイム)
テラス席は通路に面しており、開放感がある
テラス席は通路に面しており、開放感がある

 話題を呼びそうなのは、ランチタイム限定でおかわり自由になる「フレッシュチーズ&クリームバー」。その日お薦めのフレッシュチーズや発酵クリーム5種類を好きなだけおかわりできるというから驚きだ。またカフェタイムには、牛乳を好きなだけおかわりできるドリンクメニューも提供。コーヒーや抹茶ソースに牛乳をたくさん入れてよりミルキーな味わいを楽しむこともできるし、ドリンクを飲み終えた後にミルクだけを飲むこともできる。また、ディナータイムにも乳製品を使ったメニューが多く、例えばピザは「フロマージュブラン」「ダブルモッツァレラ」「4種のフレッシュチーズ」「マスカルポーネ」など、異なるフレッシュチーズを使った4種を提供する。

ランチタイムには「フレッシュチーズ&クリームバー」に、タカナシ自慢のフレッシュチーズや発酵クリームの本日のお薦めが5種用意される。最初に5種盛り合わせプレートが提供され、2皿目以降は自由におかわりできるシステム
ランチタイムには「フレッシュチーズ&クリームバー」に、タカナシ自慢のフレッシュチーズや発酵クリームの本日のお薦めが5種用意される。最初に5種盛り合わせプレートが提供され、2皿目以降は自由におかわりできるシステム

 同店で提供するチーズプレートや料理に使用しているのは、タカナシ乳業が得意とする、熟成させないフレッシュチーズが中心。チーズ料理専門店やチーズ料理を得意とする店は珍しくないが、フレッシュチーズだけを多種類味わえる飲食店はあまり聞いたことがない。

「コーヒーミルク」(650円、以下、価格はすべて税込み)。カフェタイムには、おかわりができる牛乳が200㏄の瓶ごと付いてくる。他に「抹茶ミルク」もある
「コーヒーミルク」(650円、以下、価格はすべて税込み)。カフェタイムには、おかわりができる牛乳が200㏄の瓶ごと付いてくる。他に「抹茶ミルク」もある
ランチタイムは7種類から選べるランチプレートとフレッシュチーズ&クリームバーがセットになっている。平日は1350円、土日祝日は食前にヨーグルトドリンクが付いて1600円
ランチタイムは7種類から選べるランチプレートとフレッシュチーズ&クリームバーがセットになっている。平日は1350円、土日祝日は食前にヨーグルトドリンクが付いて1600円

フレッシュチーズを使った料理にミルクたっぷりカクテルも

 筆者の目当ては「フレッシュチーズ&クリームバー」。ランチメニューでは5種類がおかわり自由だが、夜はおかわりこそできないものの、10種類前後から自分の好みをチョイスできて1000円(税込み)。当日のバーコーナーには9種類の醗酵乳とフレッシュチーズがずらりと並んでいて、見ただけでワクワクする。スタッフから「どれにしますか?」と聞かれたが、せっかくなのでひと通り食べてみたいと伝える。9種類それぞれの詳しい説明、しかもそれぞれのチーズの特性に合わせて塩やオリーブオイル、コンフィチュール、ハチミツをトッピングし、ライ麦パンもたっぷり添えてくれた。これで1000円とは、本当に信じられない。店内を見ると、ほとんどのテーブルでこのプレートを注文していた。

ディナータイムの「フレッシュチーズ&クリームバー」(1000円)
ディナータイムの「フレッシュチーズ&クリームバー」(1000円)

 だが、食べ始めてから、ちょっとしたミスを犯したことに気づいた。熟成チーズは熟成方法によって見た目もかなり違うので、数種類が並んでいても簡単に見分けがつく。だが、フレッシュチーズや発酵クリームは見た目が似ていてそれが同じ皿に同じくらいの量で9種類載っているので、どれがどれだかさっぱりわからなくなってしまった。

 「酸味が少ないクリーミーなもの」など、自分の好みを伝えて、3~4種類にしぼればよかったと後悔した。しかし「何種類でも」といわれれば、とりあえず全部食べ比べてみたいと思う人は多いのではないだろうか。盛り付けるときにチーズの名前を書いた付せんやピックをつけてくれれば、パンフレットと照合できて、好みのチーズがどれか覚えられるのにと思った。

一番好みだったのはマスカルポーネチーズ(のような気がするが確信はない)
一番好みだったのはマスカルポーネチーズ(のような気がするが確信はない)
テーブルにチーズ類に関する説明が書かれたパンフレットがあるので、それを手がかりに思いだそうとしたが、無理だった
テーブルにチーズ類に関する説明が書かれたパンフレットがあるので、それを手がかりに思いだそうとしたが、無理だった

 また、塩気があるのでそれだけでつまみになる熟成チーズと違い、フレッシュチーズや発酵クリームは塩分が薄い。そのため塩やコンフィチュール、ハチミツなどのトッピングをしてくれるのだが、自分で味の調整ができない。テーブルで調節できるよう、別添えにしてくれればありがたい。同店によると、現在どちらも改善方法を検討しているとのこと。

 残念だったのはそれくらいで、フレッシュチーズをふんだんに使ったディナーメニューはどれもおいしく、通常のチーズ料理よりも胃にもたれなかった。オーダーしたのはボトルワインとミルクを使ったノンアルコールカクテルを2杯と、乳製品を使ったピザ、パスタ、サラダ、野菜料理、肉料理。合計1万円くらいで、割安だと感じた。

「ポークカルビのバターミルクドレッシングサラダ」(850円)は、バターミルクの濃厚なドレッシングとトッピングの肉の相性がよく、野菜が食べ進む
「ポークカルビのバターミルクドレッシングサラダ」(850円)は、バターミルクの濃厚なドレッシングとトッピングの肉の相性がよく、野菜が食べ進む
「4種のフレッシュチーズのピザ」(1100円)はクリームチーズ、リコッタチーズ、モッツァレラチーズ、マスカルポーネチーズを使用。チーズたっぷりなのに軽い食べごたえ
「4種のフレッシュチーズのピザ」(1100円)はクリームチーズ、リコッタチーズ、モッツァレラチーズ、マスカルポーネチーズを使用。チーズたっぷりなのに軽い食べごたえ
ノンアルコールカクテル「大人のいちごミルク」(600円)は、ミルクが濃厚だが甘味は控えめでさっぱりしていて、食中ドリンクにしても抵抗なく飲めた。同じくノンアルコールカクテルの「ハニージンジャースパイスミルク」(600円)も生姜の風味が濃厚で、さっぱりした味だった
ノンアルコールカクテル「大人のいちごミルク」(600円)は、ミルクが濃厚だが甘味は控えめでさっぱりしていて、食中ドリンクにしても抵抗なく飲めた。同じくノンアルコールカクテルの「ハニージンジャースパイスミルク」(600円)も生姜の風味が濃厚で、さっぱりした味だった

いろいろなチーズを知ってもらいたい

 タカナシミルクレストランがこのような形でフレッシュチーズや発酵クリームを提供しているのは、「ミルク本来の風味を味わってほしい」との思いからだという。それは、タカナシ乳業の牛乳の殺菌方法にも表れている。現在、一般的に流通している牛乳で多いのは120~150℃で1~3秒間殺菌する「超高温瞬間殺菌」。この方法だと栄養成分は変わらないが、熱によりタンパク質が変性し、風味やのどごしが変化する。一方、タカナシ乳業の「タカナシ低温殺菌牛乳」は66℃で30分かけて殺菌するため、生乳に近いすっきりした喉ごしと、ほんのりした甘味が残るのだという。カフェタイムに牛乳のおかわり自由サービスを設けたのも、生乳に近い味わいのタカナシ低温殺菌牛乳のおいしさを知ってもらうためだそうだ。

 タカナシ乳業の製品でスーパーなどに流通しているのは、「北海道クリームチーズ」「北海道マスカルポーネ」などの5種。だが、同社のECサイトでは、「北海道リコッタ」「クレームエペス」「クレームドゥーブル」など、一般にはあまり名前が知られていない、飲食店向けに展開する製品も取り扱っている。「ECサイトの販売比率はまだそれほど大きくないが、この店で食べておいしさを知ってもらい、購入につながればうれしい」(杉山部長)。

ミルク感たっぷりのスイーツも豊富。「とろけるマスカルポーネティラミス」(写真左、500円)、低温殺菌牛乳で作った「低温殺菌ミルクプリン」(写真中央、350円)、「フレッシュクリームチーズのベイクドケーキ」(写真右、500円)
ミルク感たっぷりのスイーツも豊富。「とろけるマスカルポーネティラミス」(写真左、500円)、低温殺菌牛乳で作った「低温殺菌ミルクプリン」(写真中央、350円)、「フレッシュクリームチーズのベイクドケーキ」(写真右、500円)

(文/桑原恵美子)

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