「赤プリ」の愛称で知られる旧・赤坂プリンスホテルの跡地に建てられた「東京ガーデンテラス紀尾井町」。2016年5月10日に一部商業ゾーンがプレオープンしていたが、7月27日に全館がグランドオープンし、ついにその全貌が明らかになった。新たにオープンしたのは、西武プロパティーズが運営するショップ&レストラン「紀尾井テラス」の3・4階、プリンスホテルが運営するホテル「ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町」(30~36階)、レストラン&バンケット「赤坂プリンスクラシックハウス」。

 同施設のエントランスとなる1階から4階までの商業ゾーンは、各フロアが異なるコンセプトで構成されている。5月にプレオープンした1階「弁慶濠(べんけいぼり)テラス」は“華やかなおもてなし”、2階「小左衛門(こざえもん)テラス」は“日々のちいさなおもてなし”をイメージし、比較的カジュアルな業態の飲食店を集めていた(関連記事:「赤プリ跡地に都心とは思えない新しい“穴場”が誕生!?」)。

 これに対し、7月27日にオープンした3階「達磨坂(だるまざか)テラス」は“色とりどりのおもてなし”、4階「御門(ごもん)テラス」は“優雅なおもてなし”をイメージ。1・2階のランチの平均価格帯は1500円前後だが、3・4階は2000~3000円と1.5倍から2倍で、ディナーの平均価格は1~2万円とさらに高価格帯。周辺に国の重要施設などが多く、国際都市・東京の核となるエリアであるのに加え、1泊の最低価格が6万円前後という上階のホテルの宿泊者も足を運べる店を想定した結果だという。

 またホテルにも、和食・洋食のレストランが各1店、特徴の異なる2つのバーラウンジがオープン。いったいどのような飲食店が集まったのか。オープン当日に足を運んだ。

「東京ガーデンテラス紀尾井町」(東京都千代田区紀尾井町1-2ほか)。外観は重箱をイメージ。1~4階が商業施設、5~28階がオフィス、30~36階がホテル「ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町」。隣が総戸数135戸の「紀尾井町レジデンス」
「東京ガーデンテラス紀尾井町」(東京都千代田区紀尾井町1-2ほか)。外観は重箱をイメージ。1~4階が商業施設、5~28階がオフィス、30~36階がホテル「ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町」。隣が総戸数135戸の「紀尾井町レジデンス」
旧グランドプリンスホテル赤坂旧館で、東京都の指定有形文化財でもある「赤坂プリンス クラシックハウス」はレストランを備えたバンケットを増築してリニューアル
旧グランドプリンスホテル赤坂旧館で、東京都の指定有形文化財でもある「赤坂プリンス クラシックハウス」はレストランを備えたバンケットを増築してリニューアル
ホテルのカクテルラウンジ・バー、スカイギャラリーラウンジ「レヴィータ」(35階)
ホテルのカクテルラウンジ・バー、スカイギャラリーラウンジ「レヴィータ」(35階)

3、4階の飲食店はホテル宿泊者向けに高級志向!?

 2016年7月27日にオープンした3・4階の15店舗のうち、12店舗が3階に集中している(飲食店は11店舗)。新業態店は広東料理「ザ・シノワ テイスト オブ カントン」、フレンチ「ル・ファヴォリ」、スペイン炭窯料理「エル フエゴ デル トロ」の3店。「ミシュランガイド2016 大阪」で一つ星を獲得したおでん店「万ん卯」が東京初出店していることや、「1年先まで予約がとれない」ことで有名な超人気寿司店「三谷」が完全予約制・料金非公開で出店しているなど、注目の高級店が多い印象。“色とりどりのおもてなし”というコンセプトどおり、和洋中とバランスがとれたラインアップだ。

 エスカレーターで4階に上がると屋外になり、赤坂プリンス クラッシックハウスの前に出る。4階の飲食店は2店舗。昇りエスカレーターの目の前に入口があるのが、話題のレストランを多く手掛けるEDGE(港区)の新業態「ノマドグリル・ラウンジ」。同施設の中でも最も広大な面積を占めるステーキハウスだ。その先には、鎌倉で人気のパティスリー「ラ・プレシューズ」がある。赤坂プリンス クラッシックハウスや、巨大オブジェを眺めながら飲食ができるテラス席は、これからの季節に人気を呼びそうだ。

重厚な印象で高級感がある3階フロア
重厚な印象で高級感がある3階フロア
カジュアル中華料理店「パラダイスダイナシティ」の新業態「ザ・シノワ テイスト オブ カントン」(3階)。営業時間は平日11~15時、17時半~22時半。土曜・休日は11~15時、17時半~22時半。席数48。平均予算はランチ4000円、ディナーは2万円。写真はランチメニュー「ザ シノワ・飲茶ランチコース」(3600円)の一例
鮨料理「紀尾井町 三谷」(3階)。営業時間は昼部/夜部※予約のみ(時間は要相談)。席数はカウンター12席。四谷にある本店は1年先まで予約が取れないといわれるほどの超人気店
鮨料理「紀尾井町 三谷」(3階)。営業時間は昼部/夜部※予約のみ(時間は要相談)。席数はカウンター12席。四谷にある本店は1年先まで予約が取れないといわれるほどの超人気店
すき焼・しゃぶしゃぶ・ステーキ「人形町今半」(3階)。営業時間は平日11~15時、17時~22時。土曜・休日が11~22時。席数42。平均予算はランチ5000円、ディナー1万5000円
すき焼・しゃぶしゃぶ・ステーキ「人形町今半」(3階)。営業時間は平日11~15時、17時~22時。土曜・休日が11~22時。席数42。平均予算はランチ5000円、ディナー1万5000円
大型ヒュミドール(シガーセラー)を備えたエレガントなバーラウンジを併設したイタリアン「カンティコ/インカンティーナ」(3階)。レストランの営業時間は11~15時、17時半~24時。平均予算はランチ4000円、ディナー2万円
大型ヒュミドール(シガーセラー)を備えたエレガントなバーラウンジを併設したイタリアン「カンティコ/インカンティーナ」(3階)。レストランの営業時間は11~15時、17時半~24時。平均予算はランチ4000円、ディナー2万円
フレンチレストラン「ル・ファヴォリ」(3階)。 営業時間は11時~15時半、17時半~23時。席数は49。平均予算はランチ4000円、ディナー1万2000円
フレンチレストラン「ル・ファヴォリ」(3階)。 営業時間は11時~15時半、17時半~23時。席数は49。平均予算はランチ4000円、ディナー1万2000円
焼鳥&ワイン「赤坂 鳥幸」(3階)。営業時間は11時~13時半、17時~23時半。座席数43。平均予算はランチ1000円、ディナー8000円。「八ヶ岳鳥幸地鶏」をメインに使用した本格焼き鳥の店。焼き鳥に合うワインの品ぞろえも豊富
焼鳥&ワイン「赤坂 鳥幸」(3階)。営業時間は11時~13時半、17時~23時半。座席数43。平均予算はランチ1000円、ディナー8000円。「八ヶ岳鳥幸地鶏」をメインに使用した本格焼き鳥の店。焼き鳥に合うワインの品ぞろえも豊富
焼肉「神楽坂 翔山亭」(3階)。営業時間は平日が11時~14時半、17時~23時半。土曜・休日が11~15時、15~23時。席数52。平均予算はランチ1000円、ディナー7000円。一頭買いによって高品質な牛肉を低価格で提供。無冷凍・無化学調味料・無(減)農薬野菜・無輸入・無端材を追求しているという
焼肉「神楽坂 翔山亭」(3階)。営業時間は平日が11時~14時半、17時~23時半。土曜・休日が11~15時、15~23時。席数52。平均予算はランチ1000円、ディナー7000円。一頭買いによって高品質な牛肉を低価格で提供。無冷凍・無化学調味料・無(減)農薬野菜・無輸入・無端材を追求しているという
スペイン炭窯料理「エル フエゴ デル トロ」(3階)。 営業時間は平日が11~15時、17~23時。土曜日が11~23時、日曜日が11~22時。席数54。平均予算はランチ3000円、ディナー1万円。スペインで5年&ミシュラン2ツ星「サンパウ」で6年修業したシェフが、熱源に炭火のみを使用するスペイン直輸入の希少な炭窯で熟成肉や旬の素材を焼き上げるという
グリルレストラン「ノマドグリル・ラウンジ」(4階)。11時半~15時、17時半~23時半。カフェ利用は11~17時。席数178(レストラン66席、バー24席、テラス88席)。平均予算はランチ2500円、ディナー1万2000円。開放的なテラスに連なる広々としたダイニング、都内最大級のルーフトップラウンジが人気を呼びそう
グリルレストラン「ノマドグリル・ラウンジ」(4階)。11時半~15時、17時半~23時半。カフェ利用は11~17時。席数178(レストラン66席、バー24席、テラス88席)。平均予算はランチ2500円、ディナー1万2000円。開放的なテラスに連なる広々としたダイニング、都内最大級のルーフトップラウンジが人気を呼びそう
パティスリー「ラ・プレシューズ」(4階)。営業時間は平日・土曜日が8~21時、日曜日が8~20時。席数はテラス席含め42席。平均予算は1500円
パティスリー「ラ・プレシューズ」(4階)。営業時間は平日・土曜日が8~21時、日曜日が8~20時。席数はテラス席含め42席。平均予算は1500円
「ラ・プレシューズ」はテントウムシをかたどったケーキ「コクシネル」(640円)などかわいらしいケーキが多い
「ラ・プレシューズ」はテントウムシをかたどったケーキ「コクシネル」(640円)などかわいらしいケーキが多い

東京の景色を一望できるギャラリーのようなホテル

 ホテル「ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町」(30~36階)は、革新的な環境づくりを得意とするデザイン会社、ロックウェルグループヨーロッパが、日本のホテルでは初めて手掛けていることも注目されている。また同ホテルは、北米や欧州を中心に多くの会員顧客を持つスターウッドホテル&リゾート ワールドワイドが展開する最高級カテゴリー「ラグジュアリーコレクション」に加盟している(日本では2015年3月オープンの「翠嵐 ラグジュアリーコレクションホテル京都」に2番目で、東京初)。

 同ホテルのデザインは広々とした眺望と内装の一体感が特徴で、美術館(ギャラリー)にいるような高揚感を感じてもらうのが狙いだという。その狙いが最もはっきりと打ち出されているのが、スカイギャラリーラウンジ「レヴィータ」(35階)。巨大なガラス窓から、都心の景色を圧倒的なスケール感で眺められる。取材したのは昼だったが、夜になって店内がライトアップされると、宇宙船のような非日常的な雰囲気になるという。

 同ホテルがターゲットと見ているのは、赤プリ時代からの顧客に加え、30~50代の新規顧客。「価値があると判断したものには積極的に投資し、先端技術やトレンドに敏感であり、サービスやしつらえにシンプルさも求める層」(同社)だという。

 7月27日に行われたオープニング・イベントでは、旧・赤坂プリンスホテルを最後にチェックアウトした常連客が、チェックイン第一号としてガラスのキーを渡される演出があった。キーを渡したプリンスホテルの武井久昌専務執行役員が涙をおさえきれず挨拶が中断する場面も。「赤坂プリンスホテルのDNAを受け継ぎ、2020年に向けてトップクラスの宿泊需要を満たすホテルに育てたい」(武井専務執行役員)という言葉が印象的だった。

フロントは最上階にあり、同ホテルの象徴ともいえる吹き抜けのロビー「スカイロビー」(35階)とつながっている
フロントは最上階にあり、同ホテルの象徴ともいえる吹き抜けのロビー「スカイロビー」(35階)とつながっている
ダイニングエリアのほか、日本酒を楽しめるSAKEバーや鉄板焼カウンターと寿司カウンター、個室を備えたメインダイニング「WASHOKU 蒼天(そうてん) SOUTEN」(35階)。営業時間はランチ11時半~15時半、ディナー17時半~22時、席数108
ダイニングエリアのほか、日本酒を楽しめるSAKEバーや鉄板焼カウンターと寿司カウンター、個室を備えたメインダイニング「WASHOKU 蒼天(そうてん) SOUTEN」(35階)。営業時間はランチ11時半~15時半、ディナー17時半~22時、席数108
イタリアン中心の洋食を1日中、カジュアルなスタイルで提供するオールデイダイニング「オアシスガーデン」(36階)では、赤プリ時代からのメニューも楽しめるという。営業時間は6時半~10時、11時半~15時半、17時半~23時、喫茶は10時~11時半、15時半~17時半、席数108席
イタリアン中心の洋食を1日中、カジュアルなスタイルで提供するオールデイダイニング「オアシスガーデン」(36階)では、赤プリ時代からのメニューも楽しめるという。営業時間は6時半~10時、11時半~15時半、17時半~23時、喫茶は10時~11時半、15時半~17時半、席数108席
「オアシスガーデン」で提供している「富士清流育ち 功刀マスのマリネ ディールとオレンジの香りで」(2800円)
「オアシスガーデン」で提供している「富士清流育ち 功刀マスのマリネ ディールとオレンジの香りで」(2800円)
吹き抜けのスカイロビーに位置する、カクテルラウンジ・バー、スカイギャラリーラウンジ「レヴィータ」(35階)。巨大なガラス窓から、都心の景色を圧倒的なスケール感で眺められる。営業時間は喫茶 が11~17時、バータイムが17~25時。席数47
吹き抜けのスカイロビーに位置する、カクテルラウンジ・バー、スカイギャラリーラウンジ「レヴィータ」(35階)。巨大なガラス窓から、都心の景色を圧倒的なスケール感で眺められる。営業時間は喫茶 が11~17時、バータイムが17~25時。席数47
「ザ・バー イルミード」(35階)は唯一窓がなく、閉ざされた空間がむしろ落ち着いた雰囲気を感じさせる。営業時間は17~24時、席数30
「ザ・バー イルミード」(35階)は唯一窓がなく、閉ざされた空間がむしろ落ち着いた雰囲気を感じさせる。営業時間は17~24時、席数30
ホテル「ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町」の客室例。「グランドデラックス プレミアキング」(62平米)。1泊10万5000円(1人、税・サービス料別)
ホテル「ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町」の客室例。「グランドデラックス プレミアキング」(62平米)。1泊10万5000円(1人、税・サービス料別)
同ホテルのユニフォーム
同ホテルのユニフォーム

(文/桑原恵美子)

この記事をいいね!する