これはもはや生鮮食品のないスーパーマーケット――。2017年7月28日、セブン‐イレブンが推し進める新レイアウト店舗初の大型店が東京都町田市にオープンした。

 セブン‐イレブン・ジャパンは商品の配置を大幅に見直した新レイアウト店舗をすでに全国約300店で導入。2017年度内に新店の1100店舗、既存店の800店を新レイアウトにし、2021年までに国内店舗(2017年6月末時点で1万9588店)の約半分となる1万店以上に導入する計画だという。はたして、その店舗はどのようなものか。

セブン‐イレブン・ジャパンが導入を進める新レイアウト店初の大型店「セブン-イレブン町田小山町店」
セブン‐イレブン・ジャパンが導入を進める新レイアウト店初の大型店「セブン-イレブン町田小山町店」

フロア奥にレジカウンターを配置し、長さも1.5倍に

 まず大きな違いは従来のレイアウトでは入ってすぐの左手か右手にあったレジカウンターがフロア奥に配置され、入り口のほうを向いていること。これはセルフ式コーヒーや揚げ物などカウンターで展開している商品が拡大しており、カウンターを横長にして有効スペースを増やすためだという。実際にカウンターは全長約9.9メートルと従来(6.8メートル)の約1.5倍もある。

入り口を入った正面にレジカウンターが見える
入り口を入った正面にレジカウンターが見える
カウンターは全長約9.9メートルと従来(6.8メートル)の約1.5倍もある
カウンターは全長約9.9メートルと従来(6.8メートル)の約1.5倍もある
通路幅は従来に比べて中通路は10cm、ウオークインケース前は30cm、レジ前は10cm拡大。幅が広くなったことで棚の商品が上から下まで見渡しやすくなった印象。陳列棚はこれまでより15cm低い
通路幅は従来に比べて中通路は10cm、ウオークインケース前は30cm、レジ前は10cm拡大。幅が広くなったことで棚の商品が上から下まで見渡しやすくなった印象。陳列棚はこれまでより15cm低い

「中食」充実の理由は? 洗剤やシャンプーは大容量も

 さらに、大きな特徴は「中食」を強化していること。セブン-イレブンでは女性と50代以上の顧客の比率が高まっており、冷凍食品やカウンター商品、デイリー商品などの中食関連商品が伸びているのがその理由だ。特に冷凍食品は販売スペースが従来の2倍となり、取り扱いアイテム数も約80と旧レイアウトより約30アイテム増えている。そのせいか、メインのPB(プライベートブランド)に加えてNB(ナショナルブランド)の商品も並んでいたのが印象的だった。

冷凍食品売り場がチルド食品売り場と隣り合わせになっている
冷凍食品売り場がチルド食品売り場と隣り合わせになっている
従来店の冷凍食品売り場はPBだけでなく、NBの商品も並んでいた
従来店の冷凍食品売り場はPBだけでなく、NBの商品も並んでいた

 女性や50代以上の顧客を意識したと思われるポイントは食品以外にもあった。気になったのは、洗剤やシャンプー、トイレットペーパーなど購買頻度の高い日用品の大容量タイプもそろえていること。同社では4月に日用品61品目の値下げを行っており、スーパーマーケット化の傾向が強まっているといえるだろう。

洗剤やシャンプーは大容量タイプもそろえていた
洗剤やシャンプーは大容量タイプもそろえていた

雑誌売り場はコンパクトに、窓際にイートインカウンター

 一方、棚の数を減らしてコンパクトになったのが、雑誌売り場。ただ棚の段数が増えているので、アイテム数は大きくは変わらないそうだ。

 雑誌売り場といえば、先に新レイアウトを導入した三鷹牟礼6丁目店(東京都三鷹市)のオープン時に窓際からフロア中央に移動していたことが話題となった。ただ今回の店舗では従来と同様に窓際に配置されている。三鷹牟礼6丁目店も7月末に訪れたときには窓際に移っていたので、まだまだ模索中ということだろう。

 窓際に設置されたイートインコーナーはカウンターのみで、1席ごとにパーテーションを設けているのも面白い。一人客が1席ずつ空けて座ることを考慮し、席数を奇数にしているという。

雑誌コーナーは従来に比べて棚の数は減っているものの段数が増えているため、アイテム数はほぼ変わらないという
雑誌コーナーは従来に比べて棚の数は減っているものの段数が増えているため、アイテム数はほぼ変わらないという
イートインカウンターは1席ずつパーテーションで区切ってある
イートインカウンターは1席ずつパーテーションで区切ってある
島(棚の固まり)が増えたため、エンド(島の端)が増えて目立つ陳列がよりやりやすくなっている印象
島(棚の固まり)が増えたため、エンド(島の端)が増えて目立つ陳列がよりやりやすくなっている印象

(文/山下奉仁=日経トレンディネット)

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