大阪市中央区の大阪城公園内に2017年6月22日、飲食店など22店舗が集積する複合商業施設「JO-TERRACE OSAKA(ジョー・テラス・オオサカ、以下ジョーテラス)」が開業した。
JR大阪環状線大阪城公園駅から大阪城ホールまでのエリアに作られたもので、7棟の建物からなり、延床面積は約5000平方メートル。飲食店を中心に、ランナーサポートや和装体験の施設、外国人観光客にも対応するインフォメーションなど、大阪城と界隈を満喫できる利便性の高い施設が集結した。
大阪城公園はこれまで大阪市と外郭団体が管理運営してきたが、2年前に運営主体を大阪城パークマネジメント(大阪市)に移行。2012年に策定された「大阪都市魅力戦略」に基づき、世界的な歴史観光拠点をめざして新たな魅力とにぎわいの創出に取り組んできた。2016年度にはインバウンドの増加も手伝い、天守閣の来場者数が過去最高の255万人を突破。姫路城を抜いて日本一来場者が多い城になった。公園全体では年間1000万人以上が訪れるという。「にもかかわらず、公園内に食事ができる施設がまったくなかった。今日を機に朝から夜まで公園で過ごしていただけるようになった」と、同社の木下健治社長は語る。
ジョーテラスと最寄り駅のJR大阪城公園駅とはペデストリアンデッキで直結。高齢者や障害者がアクセスしやすくなったほか、小さな子供連れ向けに授乳室も設置された。今回オープンしたのは20店舗で、10月には和モダンのフードコート&店舗、12月にはミシュランシェフ監修のコース料理を堪能できるフレンチレストランがオープンする。
早くも話題のジョーテラスの注目店舗をまとめた。
天守閣を一望できる絶好のロケーション
一番の魅力は、大阪城の天守閣を間近で見ながら公園の緑のなかで食事を楽しめる点だ。残念ながらすべての店舗から天守閣が見えるわけではないが、テラス席を設けた開放感のある店舗が多い。また、緑豊かな公園の自然環境と調和した、ナチュラルでモダンな外観や店舗デザインも居心地の良さにつながっている。
天守閣を望みながらゆっくりと食事を楽しめるスポットとしておすすめなのが、Fテラス2階のブッフェレストラン&BBQ「グッドスプーン」。大阪・南堀江の人気カフェが手がけるBBQと肉料理を堪能できる店舗で、インテリアデザインのカームデザインが展開する。
いち押しのメニューは、BBQ禁止の大阪城公園内で唯一楽しめるBBQコース。予約不要でテラス席の専用テーブルが空いていればすぐに楽しめるが、しばらくは行列必至だ。4種類のミートを楽しめるミートプラッターも予想以上に好評という。同店では「オールデーブランチ&ディナー」をコンセプトに、チョップサラダやエッグベネディクト、マフィンサンドなど女性に人気のメニューも充実。70席のテラス席は屋根付きなので雨の日でも安心して食事を楽しめそうだ。
ラーメン店とは思えないスタイリッシュな空間で、こだわりのラーメンと樽生クラフトビールを味わえるEテラス1階の「タカヒロ」も注目店のひとつ。「人類みな麺類」「世界一暇なラーメン屋」など行列のできるラーメン店で知られるウンチの新業態で、世界進出のための拠点に位置付けているという。系列店では味わえないカツオだし100%の醤油ラーメンと、オーナー自ら飲み歩いて探したクラフトビールを提供。店内には200インチの大画面モニターが設置されていて、アーティストのライブ映像が観られるのもうれしい。「大阪城ホールの公演を観に来た人にも楽しんでほしいので、その日公演するアーティストの映像を流す予定だ」(同店スタッフ)。
ほかには、和のテイストをモダンに表現したラウンジ&ビストロ「テイスト オブ ザ ランドマーク スクエア オオサカ」や、パイ生地を使ったピザで有名なイタリアンダイニング「ナトゥーラ」にも注目したい。ぜいたくな空間で本格的な料理を楽しむという、これまで大阪城公園ではできなかった体験が人気を集めている。
たこ焼きからフレンチまで、個性豊かな飲食店が勢ぞろい
飲食店のジャンルはとにかく幅広く、大阪のソウルフードであるたこ焼き、お好み焼きから、すき焼き、うどんなどの和食、フレンチ、イタリアン、ハワイアン、パンケーキ、クレープなどのスイーツ、カフェまでそろっている。いずれの店舗もコンセプトが明確で、料理にも個性があるので、「次回来たときは他の店舗に行ってみよう」という気にさせる構成だ。
Eテラス1階のハワイアングルメ「アロハフードホールSHO-GI」は、ハワイアンスタイルのフードコートで6店舗が出店。ハワイで人気のグルメバーガーショップ「ホノルルバーガーカンパニー」と、アラモアナショッピングセンター内にある肉グリルのランチボックス店「アラモアナ・ボウルズグリル」、シェイブアイスと綿あめが人気の「カカアコ コットンスイーツファクトリー」が、フランチャイズ店として日本初上陸した。
神戸元町の人気クレープ専門店「ヒステリックジャム」は、2店舗目を出店。クレープは約120種類あり、作りたてのフレッシュな生クリームと製菓用のクーベルチュールチョコレートを使っているのが特徴だ。
ランナーサポート施設と和装体験スタジオも
大阪城公園ならではの施設としては、ランナーや観光客向けの店舗も見逃せない。絶好のランニングコースでもある大阪城公園には、週末にもなると500~600人のランナーが訪れる。JR森ノ宮駅に近い商業施設「もりのみやキューズモールベース」内にはアディダスが運営するランベースオオサカはあるが、公園内のランナーサポート施設としては「ランニングベース大阪城」が初となる。
インバウンド狙いで和装体験のサービスを提供するのが「麺菓装」だ。1階はうどんと和スイーツの飲食店、2階には舞妓や花魁(おいらん)、忍者の衣装を着て撮影できるスタジオを設置。浴衣、着物のレンタルは着付け料込みで1日2980円から、花魁体験は簡易タイプで9800円からで、舞妓姿で大阪城をバックに撮影もできる。「国内の観光客にとっても、京都まで行かなくても体験できると好評」(同店)だ。
今年もハウステンボスの人気プールが登場
大阪城公園では、昨年15万人を集めた「大阪城ウォーターパーク バイ ハウステンボス」が7月15日~8月31日まで開催される。今年は、最新のLEDを駆使した光のトンネルを滑走するロングスライダーと、高さ10メートルからの急降下と急上昇を一気に体感できるブーメランスライダーが日本初登場。夜になると一転、大人向けの演出に切り替わり、5万個のカラーボールにマッピング映像が映し出される幻想的なナイトプールも楽しめる。昨年よりスペースも拡大。今年は約20万人の来場を予定しているという。
さらに、10月には、本丸広場の歴史的建造物「旧第四師団司令部庁舎 (元大阪市立博物館)」が、飲食と物販と歴史体験の複合施設「MIRAIZA OSAKA-JO(ミライザ大阪城)」としてオープンする予定だ。
(文/橋長初代)