2017年6月23日、銀座ベルビア館3~6階に「銀座ロフト」が開業。6月11日に閉店した「有楽町ロフト」が移転したものではなく、“次世代店舗”をうたう、全く新しいタイプのロフトだという。

 「モノ」「コト」「ヒト」の3本柱で、雑貨専門店のフラッグシップストアづくりを推進するのが、今回の銀座ロフト。店舗は、“大人のカップルが楽しめる上質な空間”をコンセプトに、地下1階~地上9階までセレクトショップや豊富なジャンルの飲食店がそろう商業施設・銀座ベルビア館の3階~6階。店内には、ロフトオリジナルコスメブランドからクールジャパンの代表格であるアニメ関連雑貨まで、多種多様な雑貨を5万点そろえている。

「銀座ロフト」は銀座ベルビア館3~6階に開業。銀座一丁目駅5出口から徒歩約1分、銀座駅A13出口から徒歩約3分
「銀座ロフト」は銀座ベルビア館3~6階に開業。銀座一丁目駅5出口から徒歩約1分、銀座駅A13出口から徒歩約3分

 フロアは3階はボディー&ビューティ、4階はホームソリューション、5階はワーク&スタディ、6階はネクストクリエーション、トラベル/モバイルツールで構成。営業面積は3313平方メートルと有楽町ロフトの2500平方メートルより広い。

 なぜ有楽町ロフトが全く異なるタイプの銀座ロフトに“変身”したのか。藤野秀敏館長は、「雑貨の見直しが目的」だと語る。

 「もともと雑貨は脇役だったが、最近では暮らしを豊かにしてくれる主役になっている。それにつれて、お客さんのニーズもどんどん高度になり、こだわりの店、こだわりの商品じゃないと満足しない。我々のような大型雑貨店がこうした流れに対応するのは難しいが、そのままでは何でもそろっているだけの店になってしまう。銀座ロフトでそこを打破したい。雑貨の楽しみをさまざまな側面からもう一度アピールしていきたい」という。

 また、銀座ロフトは雑貨の楽しみを知ってもらうために、店内でさまざまな提案を行う次世代店舗に挑戦するという。

銀座ロフトが仕掛ける“一歩先の提案”とは?

 銀座ロフトの新しいエッセンスのひとつに、各業界のスペシャリストが集まって結成された「チームロフト」によるアイテム紹介、トークショー、イベント開催がある。銀座ロフトが掲げる「モノ」「コト」「ヒト」のひとつであるヒトの力が、ロフトをもっと面白くするのだとか。

 「モノだけをクローズアップしていても飽きられてしまう。コトだけで言い続けていても売るモノがない。良いモノとコトをそろえたうえで、それらを外に向けて発信をしていく『ヒト』が非常に重要。ただ自分でモノをいいですよと言っているだけではダメ。第三者が言うからこそ伝わる」(藤野館長)

各業界のスペシャリストが集まって結成された「チームロフト」は第三者の視点から売り場や雑貨の魅力を提案する
各業界のスペシャリストが集まって結成された「チームロフト」は第三者の視点から売り場や雑貨の魅力を提案する

 そんな「チームロフト」は、モデルの田中里奈、バリスタの大塚朝之、エデュテインメントアーティスト・ねんドルの岡田ひとみなど10人の専門家で構成。「このような提案はいずれほかの店舗でも実施していきたい」(藤野館長)とのこと。

「チームロフト」メンバーの一人、“ねんドル”の岡田ひとみ氏。子どもたちを中心にねんどのミニチュアフード作りなどを教えているエデュテインメントアーティスト
「チームロフト」メンバーの一人、“ねんドル”の岡田ひとみ氏。子どもたちを中心にねんどのミニチュアフード作りなどを教えているエデュテインメントアーティスト

 実際に試せる、イベントに参加できるなど、体験スペースを多く設けているのも特徴だ。例えば、「タッチアップコーナー」では発売前のコスメを試すことが可能。吊るしの鉢植えが並ぶ「そら植物園POP UP SHOP」というコーナーでは、自宅で楽しめる世界各地の植物を提案してくれる。

世界のハンギングプランツがそろう「そら植物園POP UP SHOP」
世界のハンギングプランツがそろう「そら植物園POP UP SHOP」

 また、5階の「ペンシルバー」では、世界各地の鉛筆300種類・5000本がそろう。試し書き専用のスタンドが設置されており、アナログツールの原点である筆記具の魅力を実感できる。

世界各地の鉛筆300種類・5000本がそろう「ペンシルバー」
世界各地の鉛筆300種類・5000本がそろう「ペンシルバー」
広々とした試し書き専用スタンドも設置
広々とした試し書き専用スタンドも設置

 「ワークショップコーナー」には3Dプリンタで製作された大きなテーブルが設置され、ここでさまざまなワークショップが行われる。

ワークショップコーナーのテーブルは3Dプリンタで製作されたもの。ねんドル・岡田ひとみ氏による大人女性限定ワークショップも開催される
ワークショップコーナーのテーブルは3Dプリンタで製作されたもの。ねんドル・岡田ひとみ氏による大人女性限定ワークショップも開催される

 そして各フロアを回って気付くのは、木目調、スチールなど什器のテイストをフロアごとに大きく変えていること。これもフロアの特徴を際立たせている工夫のようだ。

3階は白を基調に高さの低い什器を使用し、明るく見やすく開放的。クランク導線を採用
3階は白を基調に高さの低い什器を使用し、明るく見やすく開放的。クランク導線を採用
4階はリラックスをテーマに、ウッド調の棚にさりげないイラストを施している
4階はリラックスをテーマに、ウッド調の棚にさりげないイラストを施している
5階は海外の筆記具やカラフルなカードなどが映えるよう、シンプルで直線的でシックな空間。テーマはタイムレス
5階は海外の筆記具やカラフルなカードなどが映えるよう、シンプルで直線的でシックな空間。テーマはタイムレス
6階はクリエイター作品が映えるよう、オープンな空間に。大きな窓から太陽の光が差し込むなど、ほかの階とは全く印象が違う
6階はクリエイター作品が映えるよう、オープンな空間に。大きな窓から太陽の光が差し込むなど、ほかの階とは全く印象が違う

全館回って見つけた掘り出し物アイテムは?

 そんな銀座ロフトの最大の見どころは、6階のミックスカルチャーな空間「グラフィックス」。エスカレーターの右手にすぐ、国内外で人気のアニメの複製原画や原稿が展開されている。近年、デジタル制作が一般化しているため、手描きのセル画が貴重だ。

 もちろん、アニメやキャラクターグッズだけでない。すぐ横には、「MoMA Design Store Kiosk」が。ここでは、ニューヨーク近代美術館のキュレーターが厳選したMoMAの代表的なプロダクトから雑貨、インテリアまでグッドデザインをそろえている。たとえば、インターネットで話題になった、かぶり物みたいな携帯枕「オーストリッチピロー ミニ」も購入可能。

「MoMA Design Store Kiosk」
「MoMA Design Store Kiosk」
かぶり物みたいな携帯枕「オーストリッチピロー ミニ」
かぶり物みたいな携帯枕「オーストリッチピロー ミニ」

 同じ6階には、エレベーターのすぐ横にカスタマイズ工房「LOFT&Fab」もある。ここで購入アイテムに好きな文字やイラストを入れることが可能。「エンコードリング」と呼ばれる、自分の声の波形からデザインした世界にひとつのオーダーメイドアクセサリーも作成できる。

 ほかには、5階の「モレスキンアトリエ」と「小文具古文具」コーナーも要チェックだ。前者には、ロフト限定の「mt」とモレスキンのコラボマスキングテープやノートがそろっている。後者は、誰でも知っている文具を小さくした「小文具」やお蔵入りした人気アイテム「古文具」を集積したコーナー。文具王・高畑正幸氏提供の品もあるため、文具好きにはたまらないスペースとなっている。

「モレスキンアトリエ」ではロフト限定となっている「mt」とのコラボ商品に注目
「モレスキンアトリエ」ではロフト限定となっている「mt」とのコラボ商品に注目
「小文具古文具」コーナー。なぜか超特大サイズの「よいこのおどうぐばこ」も販売。価格は2万5000円!
「小文具古文具」コーナー。なぜか超特大サイズの「よいこのおどうぐばこ」も販売。価格は2万5000円!

 歩き回って少し疲れたら、4階の「猿田彦珈琲 POP UP SHOP」でひと息つける。ただ7月13日までの期間限定のため、早めに足を運んでほしい。

(文/藤岡あかね)

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