2016年5月27日、池袋駅に隣接するルミネ池袋8階にスタンディング形式のビアガーデン「THE ROOFTOP FLEA」(ザ ルーフトップ フリー)がオープンした。手がけるのはセレクトショップ「ジャーナルスタンダード」「IENA」などを手がけ、カフェ「J.S. BURGERS CAFE」やブーランジェリー「ゴンドランシェリエ 東京」といった飲食業も展開しているベイクルーズ。同社が運営する9階のバーベキュービアガーデンに合わせて、9月末日まで営業する予定だ。
ザ ルーフトップ フリーは、フード&ドリンクスタンド3店舗と雑貨や洋服を販売するアパレルショップ2店舗で構成されており、フロアには植物をぐるりと取り囲むような形の木製スタンディングカウンター、その脇にベンチが置かれている。2015年まで開放していた屋外エリアを利用しており、店舗数も少ないのでフロア全体は広々としている。立ち飲みスタイルといえども、落ちついてゆっくり飲めそうな雰囲気だ。
フード&ドリンクスタンドは商品を購入し、その場で支払うキャッシュオン形式を採用。待ち合わせ前や仕事帰りなどに気軽に立ち寄れる「ちょい飲み」を意識したという。
人気のフレンチフライ、初上陸ビールが並ばずに楽しめる
フードエリアで注目したいのは、米国ニューヨークのビール醸造所「Brooklyn Brewery(ブルックリン ブリュワリー)」が提供する「ブルックリン EIPA」。これまで日本では瓶入りしか販売されておらず、樽ビールが提供されるのは日本初とのこと。華やかな香りとスッキリした味わいが特徴で、本場では男女を問わず好まれているビールだという。
その隣には、東京・広尾に本店を構えるフレンチフライの人気店「AND THE FRIET」(アンド ザ フリット)が出店。直営店では8種類ほどあるメニューを看板メニューの「ビンチェ」1種類に絞り、フレーバーも減らして提供までの時間を短縮している。混雑時は行列ができることでも有名な同店だが、ここではさほど並ばずに購入できそうだ。
ベイクルーズ直営の「KIOSK(キオスク)」では、ポップコーンやポテトチップス、ジンジャーエールなどのソフトドリンクを販売。さらに渋谷のカフェ・ダイニングバー「GOOD MEALS SHOP」(グッド ミールズ ショップ)のオリジナルアイスケーキも扱う。ストロベリーチーズのフレーバーを試食したが、クランブルと呼ばれるクッキー生地がふんだんにトッピングされており、かなりの食べ応え。土日祝日はフードエリアの全店舗が昼の12時から営業しているので、ビアガーデンとしてだけでなくオープンカフェとしても使えそうだ。
マルシェというより海の家!?
アパレルショップでは、ベイクルーズの自社ブランドとアウトドアメーカーのスノーピークがコラボレートした「JOURNAL STANDARD relume × snow peak」(ジャーナルスタンダード レリューム×スノーピーク)に注目。オリジナルの雑貨やTシャツなどを販売している。
もう1つのアパレルショップは天然ゴムを使った日本のビーチサンダルブランド「SALACS」(サラクス)。日本で買えるオシャレなビーチサンダルといえばブラジルの「イパネマ」「ハワイアナス」の2大ブランドが知られているが、2015年からスタートしたサラクスもカラーリングの豊富さや履き心地の良さから徐々に人気が高まり、全国のセレクトショップや百貨店を中心に販路を拡大しているという。
こうした「ブレイク目前」のブランドを出店させるあたりは、さすがアパレルメーカーの目利きといったところだ。
ベイクルーズによると、飲食や買い物が密接した一つの空間で楽しめるという点から、フランス語で市場を意味する「マルシェ」をイメージしてフロア作りを行ったという。だが、木を基調とした簡素な外装や屋上という立地による解放感のせいか、湘南あたりの夜間営業の海の家の雰囲気にどこか似ている。「カジュアルにチルアウト(くつろぐ)できるコミュニティーフロア」をうたっていることもあり、にぎやかな市場というより、まったりとした海辺にいるような印象を受けた。
手ごろな価格、目的は“きっかけ作り”
200円のソフトドリンクやフレンチフライのみの単品購入も考えられるため、想定する客単価は500円とビアガーデンとしてはかなり低め。「気軽に立ち寄れる価格にして客数を増やし、9階のバーベキュービアガーデンを知るきっかけ作りにしたい」(ベイクルーズ)という。
駅ビルであるルミネの利用者は20代から30代前半が多く、同社の顧客と親和性が高い。アパレルエリアに出店しているジャーナルスタンダード レリュームはルミネ池袋内に常設店を構えており、サラクスは同社のブランド「IENA」の一部店舗で取り扱いを開始している。ザ ルーフトップ フリーからベイクルーズのアパレル店舗への誘導も狙っているのだろう。
(文/樋口可奈子)