ファミマがドンキみたいになったら――。2017年に資本・業務提携したユニー・ファミリーマートホールディングスとドンキホーテホールディングスは2018年6月、既存のファミリーマート店舗にドン・キホーテの品ぞろえや売り場づくりのノウハウを取り入れた共同実験店を東京に出店した。
6月1日に改装オープンしたファミリーマート立川南通り店(東京都立川市)とファミリーマート大鳥神社前店(東京都目黒区)、同月29日に改装オープン予定のファミリーマート世田谷鎌田三丁目店(東京都世田谷区)の3店舗がそれ。いったいどんな店舗なのか、6月1日のオープン日に立川南通り店を訪れた。
激安だけではなかった
まずコンビニとの違いに驚くのが、店の前にも陳列スペースを設けていること。しかも、どの商品も「ドンキとコンビにお買い得プライス」と激安価格をアピールする。まずはコンビニとの最大の違いである安さで道行く人々を引き付けようということだろう。
しかし店内に入ると、気になるのは価格よりも品ぞろえだ。取り扱い商品数は約5000種類で、通常のファミリーマート店舗の約1.7倍。特にお菓子と日用品はドンキの商品をファミマ商品の3、4倍仕入れている。なかでも棚一面に約250種類の商品が並ぶグミ売り場は圧巻だった。
ドンキらしい“ジャングル陳列”
これだけの数の商品を陳列するため、ゴンドラ棚を62台に増やしたうえに(改装前は34台)20センチ高くしている。さらに従来のコンビニにはない円筒型什器やチェーンによる吊り下げ陳列を行うことで、ドンキらしい“ジャングル陳列”を作り出している。
客数増が狙い、何で差異化するのか
共同実験店の狙いについて、ファミリーマートは来店客数のアップを強調する。「コンビニの客数が伸び悩むなか、ドンキの品ぞろえと陳列を導入することで、新たな顧客を獲得できるようにしたい」(ファミリーマート ライン運営事業部の今木誠部長)。
たしかに店の前の陳列スペースで激安品を販売したり、女性向けの商品を充実させたりしているのは新規顧客獲得を意識してのことだろう。ただ、それだけだと他のコンビニとは差異化できるが、今度はスーパーやドラッグストアと競合しそうな印象を受ける。
スーパーが24時間化したり、ドラッグストアが食料品を充実させたりなど、流通業態の垣根がなくなるなか、ファミマ+ドンキは何で差異化していくのか。今回の実験店ではそのあたりの検証も必要になりそうだ。
(山下奉仁=日経トレンディネット)