大手セレクトショップのビームスが2016年4月28日、東京・新宿に「ビームス ジャパン」をオープンした。この店舗は創業40周年を迎える同社が新たに展開する、日本をキーワードにした新プロジェクト「BEAMS “TEAM JAPAN”」の発信拠点となるという。

 ビームス ジャパンという名称では初となるショップで、ロゴも新たにデザイン。これまで“世界の優れたモノ”を日本に紹介してきたビームスが、今度は“日本のいいモノ”を日本と海外に向けて発信していくという。

 もともとビームス新宿店のあったビルを改装し、地下1階〜地上5階の6フロアで構成。日本をテーマに独自の切り口で編集した工芸品や銘品、ファッションや雑貨、サブカルチャーをフロアごとに集約。地下1階には同社店舗では初のレストラン業態「日光金谷ホテル クラフトグリル」が入っているのも特徴だ。

JR新宿駅の南口から徒歩7~8分。ビームス ジャパンのロゴは日本を象徴する“富士山”と“日の丸”がモチーフになっている
JR新宿駅の南口から徒歩7~8分。ビームス ジャパンのロゴは日本を象徴する“富士山”と“日の丸”がモチーフになっている

1階は日本各地の銘品がそろう

 1階のエントランスフロアでは福岡の線香花火、愛知の招き猫など日本各地から選りすぐった銘品を販売。日本人が楽しめるのはもちろんのこと、海外からの旅行者にとっては日本の土産を買うのにうってつけのフロアとなっている。また、和テイストのビームス商品や、各地の銘品をビームスのオフィシャルカラーであるオレンジ色で仕上げた別注品なども展開している。

 1階にはコーヒー専門店「猿田彦珈琲」のコーヒースタンドも併設してあり、ビームス ジャパン限定の「ジャパンブレンド」などが楽しめる。

1階は日本の銘品がずらりと並ぶ。和風の内装と商品なので、通りすがりの外国人観光客が立ち寄る新たなみやげスポットになりそう。どれもオシャレ感が漂っていて日本人も欲しくなるものばかり
福岡県みやま市にある筒井時正玩具花火製造所の線香花火(5000円)。国産の線香花火は希少で、燃え方がとても美しいという。夏にはビームス別注のオレンジ色の線香花火も発売予定だとか
福岡県みやま市にある筒井時正玩具花火製造所の線香花火(5000円)。国産の線香花火は希少で、燃え方がとても美しいという。夏にはビームス別注のオレンジ色の線香花火も発売予定だとか
愛知県瀬戸市にある中外陶園の「瀬戸まねき猫」(4000円)。ビームス別注の「オレンジまねきねこ」も登場
愛知県瀬戸市にある中外陶園の「瀬戸まねき猫」(4000円)。ビームス別注の「オレンジまねきねこ」も登場
バルカナイズ製法のシューズで国内外から高い評価を得る福岡県久留米市の「ムーンスター」。ビームス ジャパン別注の足袋(2200円)
バルカナイズ製法のシューズで国内外から高い評価を得る福岡県久留米市の「ムーンスター」。ビームス ジャパン別注の足袋(2200円)
下駄の生産で知られる大分県日田市の老舗工房で作られたビームス ジャパンの下駄サンダル(8000円)。ヒノキの下駄にビルケンシュトックのソールを合わせている
下駄の生産で知られる大分県日田市の老舗工房で作られたビームス ジャパンの下駄サンダル(8000円)。ヒノキの下駄にビルケンシュトックのソールを合わせている
1階にはコーヒー専門店「猿田彦珈琲」が出店。あんこに合う味を追求したという同店舗限定のコーヒー「ジャパンブレンド」が楽しめる。店内外のどちらからも購入でき、店外に向けたコーヒーウィンドウは8時半~22時半まで営業
ビームスの店舗では初となるレストラン「クラフトグリル」が地下1階に。日光金谷ホテルが監修した“日本の洋食”が味わえる

2、3階は注目のジャパンブランドが集結

 2階は“今の日本”を代表するアパレルブランドの商品が並ぶ。希少なつり編み機でスウェットを仕立てる「ループウィラー」や、日本の洋服の代表格であるスカジャンを手がける「テーラー東洋」などの新作を中心に、ビームスのオリジナルウエアもラインアップ。

 3階はビームス別注アイテムが一堂に集結。“別注カルチャー”を牽引してきたビームスのアレンジ力に注目したい。ビームスとアパレルブランド「エンジニアド ガーメンツ」、時計ブランド「タイメックス」の三者コラボや、吉田カバンとコラボした「B印ヨシダ」の限定新ラインなど、国内外人気ブランドの別注品は必見。

 ちなみに2、3階ともにメンズ・ウィメンズのカジュアルウエアで構成されているものの、メンズ商品の割合が多い印象。これはビームスがメンズウエアからスタートしたショップであることと、日本製など背景や製造方法にこだわるブランドにメンズブランドが多いためだろう。

2階はメンズとレディスのカジュアルウエアを扱っている。全て日本のブランドだ
2階はメンズとレディスのカジュアルウエアを扱っている。全て日本のブランドだ
日本にのみ現存する旧式吊り編み機で作るループウィラーのスウェットは脇部分に縫い目がない丸胴で着心地抜群。ホワイトボディにカタカナロゴを入れたものはビームス ジャパンだけの特別仕様(1万5000円)
日本にのみ現存する旧式吊り編み機で作るループウィラーのスウェットは脇部分に縫い目がない丸胴で着心地抜群。ホワイトボディにカタカナロゴを入れたものはビームス ジャパンだけの特別仕様(1万5000円)
日本を代表するスカジャンブランド「テーラー東洋」の商品を多数展開。実はこの春スカジャンは若者の間でブームになっているという。同店のために作ったコラボモデルも発売
日本を代表するスカジャンブランド「テーラー東洋」の商品を多数展開。実はこの春スカジャンは若者の間でブームになっているという。同店のために作ったコラボモデルも発売
ユーズド加工に定評のある人気アパレルブランド「レミ レリーフ」のデザイナー、後藤豊氏をアドバイザーとして迎えたビームスオリジナルウエア。デニムの街として有名な岡山県の児島地区で染色や加工などが施されている
ユーズド加工に定評のある人気アパレルブランド「レミ レリーフ」のデザイナー、後藤豊氏をアドバイザーとして迎えたビームスオリジナルウエア。デニムの街として有名な岡山県の児島地区で染色や加工などが施されている
3階には国内外ブランドの別注品が勢ぞろい。ビームスだから実現したコラボが多数
3階には国内外ブランドの別注品が勢ぞろい。ビームスだから実現したコラボが多数
3階には吉田カバンと展開している「B印ヨシダ」のブースも。ビームス ジャパン限定の新ライン「ニッポン スタンダード」では柿渋染めのバッグなど日本の伝統技術を駆使した商品を展開していくという
3階には吉田カバンと展開している「B印ヨシダ」のブースも。ビームス ジャパン限定の新ライン「ニッポン スタンダード」では柿渋染めのバッグなど日本の伝統技術を駆使した商品を展開していくという
「エンジニアドガーメンツ×タイメックス×ビームス ボーイ」の腕時計(1万円)。20年ぶりに復刻したタイメックスの「オリジナルキャンパー」をベースに、文字盤のデザインをミラー反転した遊び心あふれる1本。ネイビーという点も見逃せない
「エンジニアドガーメンツ×タイメックス×ビームス ボーイ」の腕時計(1万円)。20年ぶりに復刻したタイメックスの「オリジナルキャンパー」をベースに、文字盤のデザインをミラー反転した遊び心あふれる1本。ネイビーという点も見逃せない
バックパックブームを牽引するアークテリクスの「アロー22」も、ビームス40周年を記念して別注。トレンドカラーのネイビーを取り入れ、背面パッドにビームスロゴを型押ししている(2万8500円)
バックパックブームを牽引するアークテリクスの「アロー22」も、ビームス40周年を記念して別注。トレンドカラーのネイビーを取り入れ、背面パッドにビームスロゴを型押ししている(2万8500円)

4、5階は日本の文化を世界に発信

 4階は「トーキョー カルチャート by ビームス」のフロア。ビームス原宿店にある同業態のビームス ジャパン版で、東京から生み出されるサブカルやファインアートなどを通じて、現代の日本文化を世界に発信している。人気作家によるZINE(同人誌などの小冊子)や懐かしいラジカセなどコレクタブルな商品をセレクト。

 5階には、デザインとクラフトの橋渡しをテーマとする同社のレーベル「フェニカ」の商品がそろう。インディゴ染料でモダンに仕上げたこけしや、陶芸家・濱田篤哉氏のデッドストックの益子焼など、日本各地から厳選した伝統工芸品を販売している。また、アーティストの展覧会を行うギャラリーも併設。6月7日までは浅井健一氏の原画作品を展示している。

東京のポップカルチャーをラインアップする4階は、まずは軽トラがお出迎え。どうやって運び入れたのだろうか。さらに卓球台まで置いてある混沌さ。これらの内装は3D造形グループのゲルチョップが担当。フロアには人気作家が手がけるZINE(同人誌などの小冊子)や発行部数の少ない書籍などが販売されている
密かなブームとなっている往年のラジカセをメインに、70~80年代のビンテージ家電を豊富に取り扱う
密かなブームとなっている往年のラジカセをメインに、70~80年代のビンテージ家電を豊富に取り扱う
国内外で高い評価を得る花井祐介氏の掛け軸なども展示されている
国内外で高い評価を得る花井祐介氏の掛け軸なども展示されている
「クラフトパンク」と名付けられたブースを設置。さまざまなアーティストの製作衝動を表現したプロダクトが集まる
「クラフトパンク」と名付けられたブースを設置。さまざまなアーティストの製作衝動を表現したプロダクトが集まる
家具職人と宮大工が作ったというスケートボードデッキも販売。合板ではなく1枚板から削り出したものだとか
家具職人と宮大工が作ったというスケートボードデッキも販売。合板ではなく1枚板から削り出したものだとか
5階は日本の伝統工芸品を扱う「フェニカ スタジオ」。英国人と日本人の夫婦バイヤー(ともにビームスの社員)が展開する同社のレーベル「フェニカ」は、目の肥えた大人たちから支持を得ている。作家作品を中心とした上質感のあるアートをラインアップ。和のアイテムだが洋風にも見えるのが不思議だ
読谷山焼の著名な陶芸家である松田共司氏の茶碗など、近年人気の沖縄のやちむんや長崎の波佐見焼などが並ぶ
読谷山焼の著名な陶芸家である松田共司氏の茶碗など、近年人気の沖縄のやちむんや長崎の波佐見焼などが並ぶ
益子焼の陶芸家、人間国宝・濱田庄司氏の三男で若くして亡くなった濱田篤哉氏の貴重な作品も展示販売
益子焼の陶芸家、人間国宝・濱田庄司氏の三男で若くして亡くなった濱田篤哉氏の貴重な作品も展示販売
全国にコアなファンを持つこけし。遠刈田系こけしを手がける仙台木地製作所にフェニカが別注した、インディゴで絵付けを施したこけしも発売。伝統工芸品がモダンな印象に仕上がっている
全国にコアなファンを持つこけし。遠刈田系こけしを手がける仙台木地製作所にフェニカが別注した、インディゴで絵付けを施したこけしも発売。伝統工芸品がモダンな印象に仕上がっている
5階には、日本をテーマにしたアートスペース「Bギャラリー」も併設。現在は元BLANKEY JET CITYの浅井健一氏の個展が開催されている
5階には、日本をテーマにしたアートスペース「Bギャラリー」も併設。現在は元BLANKEY JET CITYの浅井健一氏の個展が開催されている

(文・写真/津田昌宏)

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