セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ(東京都港区)が開発している世界初の全自動衣類折り畳み機「laundroid(ランドロイド)」の予約販売が、2017年5月30日にいよいよスタートする。予約者には2017年度内に出荷予定だという(関連記事「松丸アナ、全自動洗濯物折り畳み機をいち早く体験!」)。
実物を見ないとピンとこないという人のために、店内にランドロイドを展示したカフェレストラン「laundroid cafe(以下「ランドロイド・カフェ」)」が2017年3月、表参道にオープンした。昼は併設のゴマアイス専門店「GOMAYA KUKI」の「超濃厚ごまアイス」やドリンクが楽しめるカフェとして営業(詳しくは関連記事「“限界挑戦アイス”が続々、ゴマ9000粒分の味は?」。夜は会員制の“焼かない焼肉屋”「29ON(ニクオン)表参道店」として営業する。店内には、食事をしながら“ランドロイドのある生活”を疑似体験できるプライベートスペース「ランドロイド・ルーム」も併設している(ランドロイド購入予約者のみ利用可能、要予約)。
29ONといえば、会員制で低温調理の肉を提供する “焼かない焼肉店”として人気。新宿本店、池袋店、代官山店、表参道店と4店舗を展開しており、募集と同時に会員権が完売する入店困難な店としても有名だ。その29ONがなぜ、ランドロイドとコラボしたカフェレストランをオープンしたのか。また“ランドロイドのある生活”を疑似体験できる体験スペースとはどのようなものか。オープン直前の内覧会に参加した。
普通のショールームでは人が集まらない
ランドロイドは2005年からセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズが独自で開発を進めてきた製品。「AI」「ロボティクス」「画像解析」という3つの最先端技術が融合したロボット家電だ。こうした最先端家電といえば専用のショールームで展示するのが一般的だが、なぜ飲食業態とコラボしたのか。
「今は時間のない忙しい人が多く、ショールームを作ってもそれほど人は集まらない。多くの人が自然に集まる話題性の高い飲食店とコラボし、最先端の科学技術であるAIやコンピューターと、構えずくつろいで触れ合える場を作りたいと考えた」(セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズの阪根信一社長)。
ランドロイド・カフェの運営を手がけるfavyの高梨巧社長は、「最先端の科学技術はただ展示されるだけのことが多いが、実用の場で活用されなければ意味がないと考えている。セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズとは、その考え方で共鳴した」と説明。29ONでも職人の勘に頼って調理するのではなく、最新のコンピューター技術で肉の部位ごとに、0.1℃単位で調理温度や調理時間を細かく調整して、肉のうまみを最大に引き出しているという。
飲食とテクノロジーを融合させたもうひとつの例として、高梨社長は同店で採用している日本初のキューブ型コールベル「ヌードー(noodoe)」を紹介した。ヌードーはエスキュービズム(東京都港区)が開発したIoTデバイス採用のコールベル。「従来のプッシュ型の呼び出しボタンは厨房ではオペレーションの音がうるさくて聞こえづらく、壁の裏側に大がかりな設備も必要だった。ヌードーならそうした設備も必要なく、テーブルの上のキューブを倒すだけでスマートにスタッフを呼び出せる」(高梨社長)。
ランドロイドの価格は1台185万円から!
阪根社長によるランドロイドの製品デモでは、「下の引き出しにランダムに入れた衣類が、ボタンひとつで上の棚に畳んだ状態でセットされる」「タオル、Tシャツ、ズボンに加え、下着やパジャマ、ジーンズも折り畳むことが可能」という説明に、驚きの声が上がった。ただし「裏返しの衣類をひっくり返したり、ボタンを留めたり、靴下のペアリングがまだできない」とのことで、ふつうに人間がやっていることを機械にさせる場合の難しさを実感した。
また同イベントでは、購入予約者限定で利用できる「ランドロイド・ルーム」の利用イメージも公開。「ディナーコースを楽しんでいる間に、衣類が畳まれていく体験をすることができる」ということだが、逆に「ランドロイドが衣服を畳むのにそんなに時間がかかるのか」と驚いた。だが自動食洗器が手洗いよりはるかに時間がかかるのと同じで、時間がかかっても手間はかからないので、慣れれば手放せなくなるのかもしれない。 問題は価格だが、同イベントで初公開されたランドロイドの最低価格は1台185万円。価格を聞いた出席者からは、ため息がもれた。同社では2017年5月30日から購入予約の受付を開始するという。
(文/桑原恵美子)