駅構内を眺めながら食事を楽しめる「ミオえきッチン」

 JR西日本グループの天王寺SC開発が運営する商業施設「天王寺ミオ プラザ館」にオープンしたのが「ミオえきッチン」だ。プラザ館M2階東側ではこれまでヤングファッションを展開していたが、本館とプラザ館で顧客が分散したため、ファッションゾーンを本館に移転。食物販を導入した新たなゾーンは、駅立地を最大限に生かしたレイアウトに変更し、毎日寄り道したくなる店舗をそろえた。

 「天王寺駅は1日約72万人が利用する大阪第三のターミナル駅。近隣に住む人が多いのが特徴で、スピーディーに買い物したい人から自分の時間を過ごしたい人まで、駅での買い物の充実を重視した」と、天王寺SC開発の䑓川恵美子営業開発部部長は話す。

 売り場面積は約300坪。安心と鮮度にこだわったスーパーマーケット「三杉屋」の新業態「ミスギヤ プラス」をはじめ、京都洛中の蔵元「佐々木酒造」の日本酒とオリジナルのいなり寿司を味わえる「元蔵」、本場の台湾ティーを提供する人気店「ゴンチャ」(関西初)など6店舗が並ぶ。

 出来立てをその場で手軽に食べられるよう、Wi-Fiと電源を完備した共用イートインスペースを設置。駅構内を見下ろせるカウンター席や立ち飲み感覚の席、高齢者や子ども向けのクッション性がある低い席など約100席用意した。

約300坪に食料品専門店、スイーツショップ、台湾ティー専門店、日本酒が飲める店など6店舗が出店した天王寺ミオ プラザ館の「ミオえきッチン」
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京阪神でスーパーマーケットを展開する「三杉屋」がプロデュースする新業態「ミスギヤプラス」。イートインですぐに食べられる総菜のほか、ちょい飲みにぴったりのグラスワインも用意
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京都の平安神宮横にある元蔵で生まれた「神宮いなり」や、うどんを巾着に包み込んだ「神宮うどん」、佐々木酒造の日本酒を味わえる「元蔵」。日本酒をぜいたくに使ったフルーツのサングリアもおすすめ
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西宮青果卸売市場で60年続く老舗の青果卸問屋がプロデュースするフルーツとケーキの店「アローツリー」。市場から直接入荷する新鮮フルーツを使ったフルーツサンドやジュースを楽しめる
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2015年に原宿にオープンし、女性に人気の台湾ティー専門店「ゴンチャ」が関西初出店。駅構内を見下ろしながら、本場の上質な台湾茶を手軽に楽しめる
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一人や子ども連れ、グループでも利用しやすいように、さまざまなタイプの席を用意。以前は壁だったところを開放し、駅からも見えるように内装を大幅に変更した
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 関西の私鉄では昨年4月、京阪電鉄グループの京阪流通システムズがJR京都駅前の京都タワー内に商業ゾーン「京都タワー サンド」をオープン。地下1階のフードホールに京都の名店、人気店などを誘致し、周辺のオフィスで働く人や地元客、国内外の観光客の取り込みに成功している。オープンから1年経過し、当初計画の2.5割増で推移しているという。

 これらの施設に共通するのは、鉄道会社が手がける駅立地の商業施設であり、業績不振から改装を余儀なくされたフロアであること。ファッションフロアが低迷し、大型商業施設においても集客力がある食テナントを重視する傾向が強まっている。そんななか、駅立地の利点を見直し、気軽な食事の場として生まれ変わった3施設は新たな手法で活気を取り戻しつつあるようだ。

2017年4月にオープンし、計画比で2.5割増の売上げを達成した「京都タワー サンド」の地下フードホール
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(文/橋長初代)