かつてダイエーの旗艦店として知られ、2016年5月に閉店したダイエー碑文谷店(東京都目黒区)が2017年3月30日、都市型GMS(総合スーパー)の新しい形を提案する「イオンスタイル碑文谷」として全館オープンした(関連記事「中目黒にニトリ、ダイエー碑文谷店はイオンに」)。
実は同店は2016年12月、1・2階の食品(生鮮・デリカ/加工品・リカー)フロア、3階のレディスファッションと美容のフロア、4階の暮らしと健康のフロアが先行オープン。今回は残りの5階「メンズとカルチャー」、6階「ママと子ども」、7階「日常のコトと集いの場」がオープンとなった。「ターゲットは20~40代のワーキングマザーやファミリー層」(イオンスタイル碑文谷の町野弘幸店長)だという。
先行オープンしたフロアでは、特に1、2階の食品エリアが好評だという。ワーキングマザーやファミリー層のニーズをより意識したという5~7階にはいったいどのような店が並ぶのか。オープン直前の内覧会に足を運んだ。
5階は男の館!? アウトドア、オーダーファッション、ヘッドホンがワンフロアに
5階はメンズファッションと書籍を軸に、アウトドア用品やデジタル関連をワンフロアに集積した。また近年、飲食と書店が融合した店舗が都市部で人気を集めていることから、直営カフェ「MIRAIYA Bookmark Lounge Cafe」を融合したブック&カフェタイプの「未来屋書店」をオープンした。
面白いのは、「住宅街である同エリアには自宅の庭でキャンプを楽しむ家庭も多い」(町野店長)ことから、アウトドア関連商品も充実させていること。新たに「スノーピーク」「コールマン」の常設コーナーを展開。テントなどはもちろん、調理器具など小物にも力を入れたという。
5階のもうひとつの目玉は、メンズファッションのスタイルオーダーコーナー。「スタイルオーダースーツ」や、100種類以上の生地・15種類の襟型などからデザインを選べるオーダーシャツの「ベラカミーチャ」、イニシャルや生地を選べる「オーダーネクタイ」のコーナーをそろえている。そのほか、ボーズのヘッドホンを販売するコーナーも同じフロアにあり、ファミリー層向け店舗中心になりがちなGMSには珍しい、男性客のニーズにポイントを絞ったフロアといえそうだ。
6階はセレブママのパラダイス!?
また、周囲は住宅街で飲食店がほとんどないため、ターゲットに合わせて子ども連れのファミリーが利用しやすい飲食店を充実させているのもポイント。
注目は、ベビー服メーカーが中目黒のショップに併設し、子連れでくつろげると人気のカフェ「ヘリアンタス」。さらに、城をイメージした内装の「サーティワンアイスクリーム」と長崎ちゃんぽん専門店「リンガーハット」をミックスした66席のフードコートを作った。どちらも子連れママに歓迎されそうだ。
またベビー・子ども・玩具を合わせた売り場面積は、ダイエー時代の約1.8倍に増床。セレブママに人気のあるノルウェーのベビー用品ブランド「Stokke(ストッケ)」を導入したり、「ナチュラル&オーガニック」コーナーを新設したりなどしており、乳幼児に関する専門知識をもった販売員が買い物の手伝いをしてくれるという。
また知育玩具への関心が高まっていることから、「ラーニングキッズ」コーナーを展開。買い物中に授乳や休憩ができる「赤ちゃん休憩室」には、照明や空気、床などあらゆる面にこまやかな配慮を施している。
7階にはイタリアンレストラン「アルポルト」も
7階には3つのレストランがオープンする。なかでも注目は、日本でのイタリア料理ブームの火付け役として知られる片岡護シェフが監修するカジュアルイタリアンレストラン「トラットリア アルポルト」のオープン。韓国家庭料理で人気の「韓国ごはん SAIKABO」、海鮮和食「お箸どころ日乃」も同日オープンで、7月には中国ラーメン「揚州商人」もオープン予定。飲食店の少ないこのエリアでは歓迎されそうだ。
そのほか、クリニック(皮膚科・歯科)、銀行、証券会社など、生活に密着したさまざまなサービス施設をワンフロアに集積しているのも特徴。「百貨店と同様、7階まで上がって下に降りてくる流れを作ることで、滞留時間を長く、買い上げ点数を高くしたい」(町野店長)という狙いだ。
同店では、クルマ関連のサービスも充実させる。買い物をしている間に車の洗浄を行う「カーウォッシュサービス」は4月中旬以降に本格展開予定。さらに電気自動車用充電スタンドを設置し、カーシェアリングサービスも利用できるようにするという。
同店舗が目標にしている来客数は年間500万人。「1~4階のみの先行オープンでも月間約35万人の来客数を記録している。グランドオープン以降は確実 に目標をクリアできると思う」(町野店長)と自信をのぞかせた。
(文/桑原恵美子)