ユニクロは2017年3月15日、新宿高島屋8階に新業態「UNIQLO MOVE(ユニクロムーブ)」をオープンする。
コンセプトは「スポーツウエアとカジュアルウエアの融合」。スポーツウエアを中心に、ジーンズやTシャツなどもそろえた店舗だという。
当面は1店舗のみの展開だが、既存の「ユニクロスポーツ」とどう差異化を図るのか。オープンに先駆けて開催された内覧会で中身をチェックした。
商品ラインアップは既存店とほぼ同じ
店舗の入り口にはランニングスタイルのマネキンがあり、一見スポーツ用品専門店のような印象を与えるが、内装はユニクロの既存店とほぼ変わらない。商品も「エアリズム」「ブロックテック」など店頭でよく見かけるものばかりだ。機能性タイツなどユニクロムーブのために開発された商品もあるが、1週間だけ先行販売したあとは大型店とネットショップ限定でも取り扱いを開始するとのこと。
売り場面積も約75坪と決して広くないうえ、同じ新宿高島屋の12階には約500坪の超大型店で、全国で売り上げトップクラスの既存店がある。既存商品をセレクトしただけのように見える店舗を、なぜ新業態としてオープンしたのだろうか。
日常でも着られるスポーツウエアを提案したい
内覧会に登壇したファーストリテイリングの堺誠也執行役員は、ユニクロムーブについて、「スポーツだけでなく、日常生活での動きを含めた広い意味での『ムーブ』をテーマにしている」と話す。
背景にあるのは、近年トレンドとなっている「アスレジャー」というファッションだ。アスレチックとレジャーを掛け合わせた造語で、ブルゾンにジョガーパンツとスニーカーを組み合わせるなど、スポーツウエアをタウンユースで着こなすスタイルを指している。アスレジャーの流行やスポーツを気軽に楽しむ人が増えたことを受け、日常的に着られるスポーツウエアを提案するコンセプトショップにしたという。
既存の商品シリーズ「ユニクロスポーツ」はランニングやテニス、ヨガ、トレーニングなどに向けた高機能スポーツウエアを提案しており、デザインは基本的にシンプル。本格的にスポーツをする人に向けたラインアップだ。そのため、タウンユースにも向くウエアもそろえる他のスポーツブランドと比べると、日常生活に取り入れにくい。
そこで、ユニクロムーブでは、ユニクロスポーツのウエアと「UT」のTシャツを組み合わせたりスポーツ用タンクトップとデニムを組み合わせたりと、既存のアイテムを使って見せ方で売ろうというわけだ。
客の要望を反映する業態にしたい
実はユニクロムーブのオープンと同時に、新宿高島屋8階フロア全体がヨガウエアやトレーニングウエア、スニーカーのセレクトショップなど、アスレジャー需要を見込んだフロアにリニューアルされる。フロア内の他のスポーツショップとの相互送客も大いに期待できるだろう。
今後の出店は未定ながら、海外も含めて検討したいとのこと。「ユニクロ初のコンセプトショップということで、客の要望を随時反映する業態にしたい」(堺執行役員)という。ただ、業態としての価値を高めるには、既存店では買えないオリジナル商品が欲しいところだ。
(文/樋口可奈子=日経トレンディネット)