携帯電話市場にとって2016年は、スマートフォンの実質0円販売の事実上禁止措置など総務省の影響を非常に強く受けた年だった。総務省の影響で先行きが不透明となった大手キャリアと、勢いを増すMVNO。その明暗が大きく分かれた1年だったが、今年もその傾向は続くことになりそうだ。

総務省が劇的な変化をもたらした2016年

 2016年の携帯電話市場は総務省の影響を非常に大きく受けた1年だったといえるだろう。

 その背景にあるのは、2015年に安倍晋三首相の携帯電話料金引き下げ発言に端を発し、総務省のICTサービス安心・安全研究会が実施した「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」だ。この中では、大手3社の協調的寡占状態となっている携帯電話市場の現状を大きく変え、MVNOなど新規事業者の競争力を高めて携帯電話料金を引き下げるための議論が展開された。

2016年は一昨年に実施された「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」の議論を受けた多くの要請がキャリアになされ、市場にも大きな変化をもたらした。写真は2015年11月26日の同タスクフォース第4回会合より
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 そして、その議論の結果が反映されたのが2016年である。中でも、キャリア、ユーザー双方に影響を与えたのが、スマートフォンの実質0円販売が事実上禁止されたことだった。番号ポータビリティ(MNP)でキャリアを乗り換えるユーザーに対し、高額なスマートフォンの端末代金を過度に割り引くことで、キャリアはユーザー獲得を進めてきた。このことがMVNOの競争を阻害しているだけでなく、頻繁にMNPで乗り換えるユーザーを優遇し、端末を買い替えない長期利用者を冷遇することにつながっているとして、批判された。

 その結果、総務省は4月に「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」を打ち出し、キャリアの端末割引に厳しい姿勢を示すようになった。実際、総務省はこのガイドラインを根拠に、スマートフォンを実質0円、あるいはそれを割り込む価格で販売するキャリアに相次いで行政指導を実施。従来当たり前とされてきた実質0円販売が事実上できなくなってしまった。

 さらに、総務省はキャリアに対して、端末割引額の減少で浮いた資金を用い、従来冷遇されてきたライトユーザー向けのより安価な料金プランを提供したり、長期ユーザーを優遇するための施策を提供したりするように要請した。3キャリアは1年にわたって、こうした総務省の施策への対応を迫られた。

総務省は端末購入価格の適正化だけでなく、ライトユーザー向けのより安価な料金プランの提供も要請。その結果、各社とも高速通信容量1GBで、5000円を切る料金プランの提供を相次いで開始した。写真は2016年2月9日のKDDI決算説明会より
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