インターネット通販大手の楽天が、総務省の4G用周波数帯の新規割り当てを申請し、携帯電話事業に参入することを表明した。MVNO(仮想移動体通信事業者)として「楽天モバイル」を展開してきた同社が、なぜ大手携帯電話事業者(キャリア)を目指すに至ったのだろうか。また、基地局をはじめとするインフラへの莫大な投資が必要な携帯電話事業に後発で参入して勝ち目はあるのだろうか。

楽天が「第4のキャリア」に

 プラスワン・マーケティング(東京都港区)の通信事業を買収したことで話題となった楽天から、再び驚きの発表があった。2017年12月14日に、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクに次ぐ「第4のキャリア」になることを表明した。

 楽天は、総務省が既存の4Gネットワーク向けとして追加割り当てを実施する1.7GHz帯と3.4GHz帯の周波数帯割り当てを申請することが取締役会で決定したことを明らかにした。楽天は申請の承認後、新会社を設立して携帯電話事業を展開する方針だ。2019年のサービス開始を予定しており、1500万人超のユーザー獲得を目指す。

MVNOとして「楽天モバイル」を展開する楽天が、キャリア参入を表明した。写真は2月15日の「楽天モバイル」新キャンペーンおよびサービス拡充に関する説明会より
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 これまで楽天はドコモの携帯電話網を借り受け、MVNOとしてモバイル通信サービス「楽天モバイル」を展開してきた。11月に買収したプラスワン・マーケティングの通信事業が保有していた契約も合わせると、契約数の合計は140万超となる。MVNOの中では大手の一角を占める規模だ。

 とはいえ、楽天モバイルはMVNOゆえに利用可能な帯域幅が狭く、昼休みなどの混雑時には通信速度が極端に低下するなどの弱点を抱えている。その解消には、より多額の通信使用料をドコモに支払う必要がある。楽天がキャリアを標榜する理由として、既存のキャリアに依存しない事業環境の構築が考えられる。

 ところが、当然ながら楽天が自社の通信インフラを敷設する必要がある。設備投資は莫大になり、MVNOとして事業展開するよりもはるかに大きなコストがかかるだろう。キャリアビジネスへの参入によってコスト増となれば、従来の格安な通信サービスを維持できなくなる恐れがある。それでも、キャリアへの道を歩むワケはこれまでの経緯を振り返ることで理解できるだろう。