「フリーテル」ブランドのプラスワン・マーケティング(東京都港区)と、中国のファーウェイ、そして台湾のエイスーステック・コンピューター。かつて日本のSIMフリーのスマートフォン市場で上位を占めていた「3強」と呼ばれていた企業のうち、2社の明暗が決定的に分かれる出来事がここ最近立て続けに起きた。

 そのうちの1社がプラスワンだ。同社は2017年12月4日、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請したのだ。同社は経営再建を目指して、11月1日に楽天に通信事業を売却したばかり。それからわずか1カ月で民事再生法の適用の申し立てに至ったことから、同社は通信事業だけでなく端末事業でも経営的に行き詰まっていたことがうかがえる。

 対照的にSIMフリースマホ市場での好調ぶりをアピールするのが、もう1社のファーウェイである。同社はプラスワンが民事再生法の適用を申請する約1週間前の11月28日に発表会を開いて新モデル3機種を発表するとともに、SIMフリースマホ市場でトップシェアであることを示す調査結果を紹介するなど、好調ぶりをアピールしていた。この両者の明暗を分けた決定打は何だったのだろうか。

通信事業を楽天に売却し、端末事業に専念していたプラスワン・マーケティングだったが、2017年12月4日には民事再生法を申請。写真は2016年10月6日の「フリーテル World 2016 Fall/Winter」より
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 2012年設立のベンチャー企業であるプラスワンは、積極的にテレビCMを展開してきたことからMVNO(仮想通信事業者)としての知名度が高い。だが、もともとはSIMフリーのスマホメーカーだった。メーカーとして出発した後、通信やサービスも自社で提供するようになり、大手携帯電話事業者(キャリア)に近い、端末から通信を垂直統合型で提供する事業モデルを展開していた。

 フリーテルのスマホは、日本で設計して中国の業者に委託製造する仕組みを採用することで端末代金を安価に抑えている。そのため、コストパフォーマンスに優れていることが人気につながった。また、折り畳み式モデルや、大容量バッテリーモデルなど個性的なラインアップをそろえて注目を集めていた。加えて、「KIWAMI」「MUSASHI」「RAIJIN」といった端末名を採用するなど、日本のブランドであることを強く打ち出していたことも特徴といえるだろう。

日本を強くアピールする名称もフリーテルの大きな特徴。かつては背面に漆塗り風の柄を施したモデルなども存在した。写真は2015年10月27日の「フリーテル World 2015」より
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 フリーテルは、MVNOが「格安SIM」と称され注目されるようになって以降、コストパフォーマンスの高さから端末の販売台数を急速に拡大した。さらにプラスワンがMVNO事業に力を入れるようになってからは、SIMカードの契約と端末をセットにした販売で業績を伸ばしていった。

 プラスワンは端末の海外販売も積極化。カンボジアやメキシコなどの新興国を中心に22カ国に進出し、事業を順調に拡大していたように見えた。それだけに、通信事業だけでなく、端末事業まで深刻な経営不振に陥っていたことには驚かされる。