KDDIが韓国のLGエレクトロニクスと手を組み、auのオリジナルモデルとして展開してきたスマートフォンの「isaiシリーズ」。2017年11月21日に同シリーズの新機種「isai V30+」が発表されたが、その中身はNTTドコモが発売するLGの「V30+」とほぼ同じだ。なぜ、isaiはオリジナリティーを失ってしまったのだろうか。

isai新機種の中身はほぼグローバルモデル

 KDDIはスマートホームサービス「au HOME」に関する発表会で、同社のスマホのラインアップに新たに2機種を追加すると発表した。auは既に「Galaxy Note8」などの3機種を発表しているので、秋冬商戦に向けて合計5機種を展開することになる。

 新たに発表された新機種の1つはシャープ製の「AQUOS R Compact」で、ソフトバンクからも発売される。そしてもう1機種が、LG製のisai V30+だ。isaiはKDDIとLGが共同開発したブランドで、グローバルモデルをベースとしながらも、日本市場に合わせてauならではのカスタマイズを施したオリジナルモデルとして知られる。ところが今回のisai V30+はどうも独自性に乏しい。

auが発表した新機種の1つ「isai V30+」。その中身はLGの「V30+」ほぼそのままで、isaiならではのオリジナル要素はほとんどない。写真は11月21日の「au HOME 発表会 with au 2017 冬モデル」より
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 isai V30+のモデル名の「V30+」は、LGがグローバルモデルとして展開する「V30+」をそのまま起用している。しかも名称だけではなく、端末の仕様もV30+そのままだ。

 無論、V30+そのものは、LGの技術と独自性が存分に発揮されたモデルと言える。6型の有機ELディスプレーや薄型ボディー、デュアルカメラの採用、バング&オルフセンの音響技術を取り入れた高音質などの特徴を持ち、さらに防水・防塵性能や耐衝撃性能を備えるなど、日本市場で重視される要素を積極的に取り入れている。だが、isaiというブランド名を冠する以上、どうしてもauのオリジナル要素を期待してしまう。

 一部、日本市場向けのカスタマイズは施されてはいる。フルセグや非接触型ICチップ技術「FeliCa」への対応などが挙げられるが、それらの機能はドコモが販売するV30+にも搭載されておりauオリジナル要素は、au独自のアプリなどを除けばほとんどない。独自性を強く打ち出していたかつてのisaiの面影は失われたのだ。

 独自性に欠けるのであれば、ドコモと同様にV30+という名称で販売しても問題はなさそうだ。ところが、KDDIの執行役員常務 商品・CS統括本部長の山本泰英氏は「isaiも(誕生から)それなりの年数がたっておりファンがいる。一方でLGのグローバルネームもそのまま採用することで、ダブルネームで双方のファンに訴求できるのではないか」と説明する。あくまで販売戦略上で、isaiのブランド名を冠することに意味があるという。だが、独自性に乏しいモデルにisaiブランドを冠することに、どこまで意味があるのかというのは疑問があるというのが正直なところだ。