いま、携帯電話業界内で世界的に盛り上がっているのが、LTEより高速で大容量通信が可能な次世代の通信方式「5G」への取り組みだ。だが、LTEのときのように、一般ユーザーの5Gに対する関心が急速に高まるかは未知数だ。移行がスムーズに進まない可能性もある。その理由はどこにあるのか。

携帯電話業界で盛り上がる「5G」

 今年、携帯電話業界で盛り上がった話題は、国内ではFeliCaを搭載した「iPhone 7/7 Plus」や「ポケモンGO」、そしてスマートフォンの実質0円を事実上禁止した総務省の措置だ。だが、世界的には「5G」だったと感じている。

 5Gとは、現在主流のLTE-Advanced方式に代表される第4世代のモバイル通信方式(4G)の次の世代の通信方式だ。最大で10Gbps以上の通信速度や、LTEの1000倍の大容量化、さらには、多くのモノがインターネットにつながるIoTの時代を見越して同時接続数端末数を100倍にするなどが条件に設定されており、4Gと比べて非常に高性能な通信環境を実現できるのが特徴だ。

NTTドコモが目指す5Gの要求条件。最大通信速度が10Gbps以上で遅延が1ミリ秒以下など非常に高いスペックを実現している。写真は「DOCOMO R&D Open House 2016」より
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 日本では、NTTドコモが2020年の東京五輪に5Gの一部を取り入れたサービスを提供する考えを示すなど、非常に積極的だ。一方で多くの国では4Gの導入が日本より遅かったこともあり、5Gへの取り組みには消極的だった。

 だが、この1年程でその動向は大きく変化。今年に入り多くの国のキャリアや通信機器ベンダーが、5Gへの取り組みを積極化し、大きな盛り上がりを見せた。実際、今年2月にスペイン・バルセロナで開催された携帯電話の総合見本市「Mobile World Congress 2016」では、多くの企業が5Gに関する展示を行っており、業界全体が急速に盛り上がり始めているのを感じた。

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今年のMobile World Congressでは、キャリアや通信機器ベンダーを中心に5Gに関連する展示が多く、にぎわいを見せていた。写真は「Mobile World Congress 2016」より

 とはいえ、大半の人たちは、5Gといわれてもピンと来ていないのではないだろうか。確かに2020年までにはまだ3年以上あるし、一般ユーザーがサービスを利用できる段階に到達するまでには時間がかかる。5Gのサービスをイメージしにくいのも当然だ。

 しかし、4G、つまり現在のLTEやLTE-Advancedが導入される前は、4Gに対するユーザーの期待や関心は、もっと高かった。それだけに、5Gに対するユーザーの期待や関心があまり高まっていないのは気がかりだ。それはなぜなのか。理由は、4Gの通信環境で十分満足しているユーザーが多いからだ。