破たん寸前だったFREETEL、買収する楽天の狙いは

 7月に入ると、それまで隔週あるいは毎週定期的に実施してきた、体感速度向上のための設備増強施策「増速マラソン」の実施を不定期にすると発表。またフリーテルショップも開店が相次ぐ一方で、早々に閉店する店舗も出始めるなど、ユーザーの不安を招く要素が増えていった。

 また、昨年までは積極的に実施してきた新製品やサービスの発表会を、プラスワン・マーケティングは今年に入って一度も実施していない。スマートフォンに関しても、前年に発表した「Priori 4」「RAIJIN」以降、新製品が発表されていない。「スマートコミコミ+」のような強引な施策が増える一方で、昨年までの勢いとは裏腹に、沈黙が続く同社の様子に、経営を不安視する向きがあった。

FREETELブランドのスマートフォンも、今年2月に発売された「RAIJIN」以降、日本では新製品が発表されていない。写真は2016年11月21日の「FREETEL World 2016」より
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 そうした不安は的中し、今回の楽天による通信事業買収という結果に至ったわけだが、楽天が公表したプラスワン・マーケティングの業績を見ると、売上高が100億5900万円なのに対し、営業利益は53億8800万円のマイナスと大幅な赤字となっており、同社が経営的に相当厳しい状況にあったことが分かる。なお、このうち楽天が買収する通信事業の売上高は43億9200万円で、負債は30億9000万とのことだ。

 つまりプラスワン・マーケティングは、顧客獲得のため積極的に先行投資をしたものの、競争激化によって短期間では期待するほどの契約数を獲得できず、急速に資金繰りが悪化。そこで楽天が事業買収によって事実上の救済をするに至ったのだろう。

 楽天がプラスワン・マーケティングの通信事業を買収した主な理由は、やはり顧客基盤の拡大であろう。楽天も「楽天モバイル」のプロモーションや店舗展開を積極的に行って契約獲得を進めているが、大手キャリアのサブブランドの攻勢や、大手キャリア自体がMVNOへの流出を阻止する対策を実施するようになったことから、かつてほど契約数を伸ばせていないとみられる。

 そこでより多くの契約を獲得するための近道として、経営に苦しむプラスワン・マーケティングの通信事業を買収する判断を下したと言えそうだ。一部報道では、楽天とプラスワン・マーケティングのMVNO事業の契約数を合わせると、業界2位のインターネット・イニシアティブ(IIJ)を超す規模になるといわれており、大幅な契約数の積み増しを期待できることは確かだ。

楽天も「楽天モバイル」でプロモーションを積極化し契約数拡大を進めていることから、プラスワン・マーケティングの通信事業買収は顧客基盤拡大を狙ったものとみられる。写真は2月15日の楽天モバイル発表会より
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