9月26日、「FREETEL」ブランドでスマートフォン開発やMVNOによる通信事業などを手掛けてきたベンチャー企業、プラスワン・マーケティングの通信事業を、楽天が5億円で買収すると発表した。その内容はプラスワン・マーケティング側の苦しい台所事情を示している。これまで急速に伸びてきたMVNO(仮想移動体通信事業者)が、今後、経営破たんしてもおかしくない状況が見えてきた。

 MVNOやキャリアのサブブランドを主体とした“格安”な通信サービス(格安SIM)に注目が集まっている昨今だが、9月26日、その格安市場をめぐって大きな出来事が起きた。それはMVNOとして「楽天モバイル」を展開している楽天が、「FREETEL」ブランドで知られるスマートフォンメーカー、プラスワン・マーケティングの通信事業を11月1日付で、買収すると発表したことだ。買収額は5億2000万円だという。

急拡大のベンチャーに何が起きたのか

 プラスワン・マーケティングは、2012年創業のベンチャー企業。自社でスマートフォンを開発・製造するスマートフォンメーカーでありながら、MVNOとして通信サービスも提供するなど、キャリアに近い垂直統合モデルで事業展開していることで注目されていた。

 しかも同社は、女優の佐々木希さんやタレントの高田純次さんらをイメージキャラクターに起用し、大規模なテレビCMを展開。今年に入ってからは実店舗「フリーテルショップ」を出店するなど、ベンチャーながら大手企業に匹敵する規模でビジネスを急拡大し、市場での存在感を増していたのである。

昨年まで芸能人を多数起用した発表会を実施するなど、ベンチャーながら通信事業を急拡大させていたプラスワン・マーケティング。だがその通信事業を楽天に売却する結果となった。写真は2016年11月21日の「FREETEL World 2016」より
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 しかしながら、今年に入って、好調を続けていた同社に変調が見られるようになってきた。その出来事の1つは、3月に打ち出した新しいセット割サービス「スマートコミコミ+」が、継続的に買い替えないと通常価格の倍近い端末代金を支払わなければならない仕組みであり、実質的な“3年縛り”ではないかと批判を浴びたことである(参考記事:「フリーテル問題 MVNOが“縛り”に走る可能性」)。

 そしてもう1つは4月21日に、同社のウェブサイト上での表記に関して、消費者庁から景品表示法の違反があったとして措置命令を受けたこと(参考記事:「格安SIM絶好調の影で、急増するMVNOのトラブル」)。これら一連の出来事によって、企業としての評価を落としてしまったのは確かだろう。