大手キャリアの販売力を生かし、日本で圧倒的なシェアを獲得したアップルのiPhone。だがそのiPhoneでも、市場動向の変化によって従来と同じように販売を伸ばすことは難しくなりつつあるように見える。新iPhoneの発表が期待される9月を前に、iPhoneを取り巻く現在の状況を振り返ってみよう。

 現在、日本で利用されているスマートフォンの半分以上はiPhoneではないかといわれるほど、iPhoneの人気は高い。それはスマートフォンの黎明期に、端末の魅力を武器として大手キャリアを味方につけ、キャリアが競い合うようにiPhoneの値引き販売を実施したことにより、「iPhoneを買うのが最も安い」という市場環境を作り出したことが大きく影響している。

 だが現在、そうしたiPhoneの過度な値引き販売は期待できなくなっている。その理由は総務省が昨年「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」を打ち出し、スマートフォンの「実質0円」販売が事実上禁止されたため。これによって携帯電話番号ポータビリティ(MNP)による乗り換えユーザーに対する過度な値引き販売が大幅に減少するなど、ここ1年のうちに市場環境は大きく変化している。

 しかしそれでも、iPhoneの販売に重点を置くキャリアの戦略は変わっていない。加えて元々iPhoneを使い続けている人が継続してiPhoneを購入する傾向が強いこともあり、現在もiPhoneが日本で最も売れているスマートフォンであることに変わりはない。

iPhoneを販売する大手キャリアは、昨年もiPhone7/7 Plusの発売日に大規模なイベントを実施するなど、今もiPhoneの販売に非常に力を入れている。写真は2016年9月16日のNTTドコモ・新iPhone発売イベントより
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「docomo with」などの登場が影響か

 だが総務省の施策が、iPhoneにとって逆風になっているのは確かで、その影響は徐々に強まりつつある。そのことを象徴しているのが、いくつかのキャリアが、端末の価格と通信料金を分離し、端末価格を値引かない代わりに通信料を引き下げる、いわゆる「分離プラン」を導入してきたことだ。

 最近導入された分離プランとしては、NTTドコモの「docomo with」や、KDDI(au)の「auピタットプラン」「auフラットプラン」が挙げられる。docomo withは対象機種が限定されるものの、7月の時点で30万弱の契約を獲得。auの新料金プランも、半月で約45万契約を獲得するなど、好調な様子を見せている。

auが新たに導入した「auピタットプラン」「auフラットプラン」は、通信料金と端末代金を分離し、端末代を値引かない代わりに通信料を安くする「分離プラン」でもある。写真は7月10日の「au発表会 2017 Summer 第2弾」より(写真/磯修)
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 総務省はかねてより、端末価格と携帯電話料金を一体で請求し、端末価格を値引きする従来の販売手法が、通信料を分かりにくくし、高止まりさせている要因の1つだとして批判し続けてきた。それゆえNTTドコモやauが分離プランを打ち出してきたのには、単なる通信料を引き下げだけでなく、総務省の要望に応える狙いもあったといえる。