ソフトバンクグループが半導体設計大手の英ARMを約3.3兆円で買収したと発表したことは、さまざまなメディアで大きく取り上げられた。この買収額は、日本企業の買収案件で過去最大。IT産業を長く取材してきた大河原克行氏は先日、人工知能時代への孫正義社長の思いから、このニュースを解説した(関連記事:【3.3兆円】ソフトバンクはなぜARMを買収するのか?)。一方、モバイル業界の動向に精通する佐野正弘氏は、ソフトバンクグループの既存事業である通信との関係で懸念も示す。

 7月の3連休の最終日の7月18日夜、突如大きなニュースが舞い込んできた。ソフトバンクグループが、半導体設計大手である英ARMを約240億ポンド、日本円にして約3.3兆円で買収し子会社化するというものだ。今後、同グループの中核事業に据えるという。この買収は、IoTに注力するソフトバンクグループの姿勢の表れといえる。

 IoTとは、Internet of Things(モノのインターネット)の略で、ありとあらゆる機器がインターネットに接続するという概念だ。今後、パソコンやスマートフォン、タブレットだけでなく、家電や車などさまざまなモノがインターネットに接続するようになる。

 ソフトバンクグループの孫正義社長は、以前よりAIとロボット、そしてIoTを今後の成長分野と定め、これら3つの分野に関するビジネスや投資を加速させてきた。実際、AIの分野ではIBMと提携し、同社のコグニティブ・コンピューティング・システム「Watson」の活用を積極的に進めている。またロボットの分野では、感情表現能力を持つロボット「Pepper」を開発している。加えて、今回、ARMを買収することで、成長分野と定めた残り1つの要素であるIoTに関しても、明確な方向性を示したというわけだ。

ソフトバンクグループはAIとロボット、そしてIoTを今後の成長分野として注力する方針を示していた。写真は2015年7月30日のSoftbank World 2015より
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