携帯電話の大手キャリアはこれまで何度も海外進出にチャレンジしている。しかし、ソフトバンクがスプリントの立て直しに苦慮したり、NTTドコモがインド事業から撤退を余儀なくされた上に訴訟沙汰に発展したりと、決してうまくいっているとは言えない。そうした中で、現在のところ、順調に成果を出しつつあるのがKDDIだ。同社は住友商事と共同で、ミャンマーで現地キャリアと携帯電話事業を展開している。その成功要因はどこにあるのだろうか。

撤退、苦戦が相次ぐ携帯キャリアの海外進出

 大手キャリア3社の中でも、多くの失敗を重ねてきたのが、NTTドコモだ。2000年にはiモードの利用拡大や、NTTドコモが推進する3Gの通信方式の普及を狙い、米国、オランダ、英国などの携帯電話事業者に巨額の出資をした。ただ、大きな成果を得られないままに安値で売却、莫大な損失を計上した。

 2009年にはインドの大手財閥であるタタグループ傘下のタタ・テレサービシズに出資してインド市場に参入したが、競争激化や行政の影響により、新たな電波の割り当てがやり直しになるなど混乱をきたした。その結果、業績が思うように伸びず、2014年に撤退を表明。契約に基づき、保有する株式を売却しようとしたが、タタ側がそれに応じず、3年間にわたる泥沼の裁判が続いた。

 今年に入りようやく、タタ側に対し、NTTドコモへの供託金の支払いを命じる判決が下され、インドからの撤退にめどがつきつつある。

 このような相次ぐ海外進出の失敗により、NTTドコモは、事業の海外進出はしないこと、海外企業への投資は技術やサービスに絞ることを方針として打ち出すに至った。

NTTドコモのインドからの撤退に関する闘争の現状。株式の売却を巡り、泥沼の争いが続いていたが、今年4月にようやく、タタ側に供託金の送金を命じる判決が出た。写真は6月20日のNTTドコモ株主総会より
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 ソフトバンクグループも海外進出で苦戦している。同社は2013年に米スプリントを買収して米国市場への進出を果たした。しかし、同時に、Tモバイルの米国法人も買収してスプリントと合併させたことで、「米国で“第3局”となる携帯電話事業者を作る」という当初のもくろみが、米国の規制当局によって阻まれてしまった。その結果、経営危機に陥ったスプリントを自力で立て直す必要に迫られた。

 その後の徹底したコスト削減とインフラの改善により、最近になってようやくスプリントの業績回復に兆しが見えてきている。とはいえ、ソフトバンクグループにとっては、今なおスプリントの再建が大きな懸念案件となっている。同社は米国の大統領が交代したことを機に、再びスプリントを軸とした携帯電話業界の再編を狙う考えを示しているが、その成否は不透明だ。

ソフトバンクグループの孫正義社長は最近、スプリントの再建が順調に進んでいると訴えているが、まだ道半ばである。写真は5月10日のソフトバンクグループ決算説明会より
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