料金の安さで大手キャリアからユーザーを奪い、人気急上昇のMVNO。一方で、トラブルや撤退など、MVNOを巡るネガティブな話題も相次いでいる。MVNOの健全な成長のためには、“安さ”だけでない環境整備が求められている。

MVNOを巡るトラブルが急増、その理由とは

 MVNOは、大手キャリアの半分以下の料金でスマートフォンが利用できる安さを武器に、大手キャリアからユーザーを奪い、成長を遂げている。例えば、KDDIは、5月11日に実施した2016年度通期決算説明会で、auの契約数が減少する一方、「UQ mobile」「BIGLOBE」など傘下企業が展開するMVNOの契約数が大きく伸長。auと傘下のMVNOの契約数を合わせた「モバイルID数」は増加に転じたと説明した。

 大手キャリアを食う勢いでMVNOが急成長する中、MVNO同士の顧客争奪戦が激しさを増してきた。MVNOは参入障壁が低いことから、既に600社以上が参入しているといわれており、最近も新規参入する事業者が出てきている。それだけ事業者の数が増えればMVNO同士の競争も激しくなる。MVNOに対するユーザーの十分な理解が進まないまま獲得競争だけが先行し、トラブルとなることが懸念されている。

 そして、その懸念は、既に現実のものとなりつつある。国民生活センターは4月13日、「格安スマホ」を提供する会社、すなわちMVNOを巡るトラブルに関する2016年度の相談件数が、前年度の3倍近い1045件に達したとして、注意を呼びかけたのだ。

 同センターの相談事例から見るトラブルの特徴は、大きく3つに分けられるという。1つ目は「故障修理時に端末の代替機貸し出しがない」「メールサービスが提供されていない」など、大手キャリアとサポートやサービスの内容が異なることに起因するもの。2つ目は、端末とSIMを別々に購入したところ、使えなかったというトラブル。3つ目は、SIMを購入してから利用できるまで時間がかかることを知らないなど、利用開始日に関する問題だ。

 こうしたトラブルが起きる背景には、消費者がMVNOと大手キャリアのサービスや仕組みの違いを知らないまま、料金が安いからといって安易にMVNOと契約してしまうことにある。MVNOの利用を増やすうえでは、利用者に正しい知識を身に付けてもらうことがより重要になってきているのだ。

格安スマホ会社(MVNO)に関する相談件数の推移(国民生活センター「こんなはずじゃなかったのに!“格安スマホ”のトラブル」より)。2016年度は、前年度の3倍近くに相談件数が増えている
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