MVNO専用モデルの「AQUOS sense plus」も登場

 もう1つ、新機種として発表されたのが「AQUOS sense plus」である。これはその名前の通り「AQUOS sense」のアップグレードモデルで、より高速なクアルコムの「Snapdragon 630」をチップセットに採用したほか、液晶の解像度やカメラの性能も向上させている。

 AQUOS sense plusについて特筆すべきはその販路だ。これまでキャリアに提供していたモデルをMVNOにも提供することはあったが、MVNO専用に開発されたモデルはAQUOS sense plusが初となる。こうしたシャープの対応からは、キャリア向けの市場だけでなく、現在伸びているSIMフリー、MVNO市場も取り込みたいという姿勢が見て取れる。

前モデルであるAQUOS senseのコンセプトはそのままに、性能を向上させた「AQUOS sense plus」。シャープとして初めてSIMフリー市場専用に開発したモデルだ。写真は5月8日のシャープ新製品発表会より
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 世界に展開しているファーウェイなどと違い、規模の小さい日本のSIMフリー市場でシェアを奪い合っているシャープが複数モデルを展開しても収益につながりにくい。その意味で、あえて“ど真ん中”のモデルに集中することで開発の効率化と販売の強化を図ったシャープの判断は賢明だと言える。

 発表された2機種から見えてくるのは、シャープが自社のスマートフォンの品質と、その販売戦略への自信を深めているということだ。特にフラッグシップモデルについては、AQUOS Rで使い勝手は評価されたものの、デザインや機能に目を引くものがなく、地味な印象が否めなかった。だが今回のAQUOS R2では、市場トレンドを積極的に取り入れ、かつ先進性を明確に打ち出している。

 シャープはいまや、強いフラッグシップモデル、AQUOS R2でブランドイメージを高めつつ、AQUOS sense、AQUOS sense plusといったミドルクラスのモデルで客層を広げるという戦略が採れる状況にある。これは、シャープのスマートフォン事業が好循環に入った証しであり、国内のスマートフォン市場でシャープが再び大きな存在感を示すのではないかと筆者は感じている。

先進性を強く打ち出したフラッグシップモデルと、充実度の高いミドルクラスをそろえたシャープは、機種数こそ多くないものの強力な布陣を整えたと言える。写真は5月8日のシャープ新製品発表会より
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著 者

佐野 正弘(さの まさひろ)

 福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。