インターネットサービス大手の楽天が総務省に新たな周波数帯の割り当てを申請、本格的に携帯電話事業へ参入するための準備を始めた。否定的な意見が目立つ同社の参入だが、その前評判を覆すだけの勝算はあるのだろか。楽天の最近の動向から追ってみよう。

東京電力との合意で設置場所を確保

 昨年12月にキャリア(通信事業者)として携帯電話事業へ参入することを発表し、注目を浴びた楽天。同社は既に「楽天モバイル」でコンシューマー向けのMVNO(仮想移動体通信事業者)としてシェア上位に位置している。とはいえ、ネットワークをキャリアから借りるMVNOと、自らインフラを敷設するキャリアとでは、経営面で全く次元の異なる難しさがある。

 国内では、既に大手3キャリアが全国をくまなくカバーするインフラを構築している。これに対して楽天は、同様の拠点を築くために、参入に際して資金調達するとしている。しかし、「楽天がもくろむ6000億円では到底足りない」との声が圧倒的だ。たとえ新規参入したとしても、既存の3キャリアに並ぶだけのインフラを敷設し、同等の勢力になることができるかに関しては、非常に多くの疑問の声が上がっている。

 しかし楽天はそうした声をものともせず、着々と新規参入に向けた準備を進めているようだ。楽天が新規参入する上で最初に突破すべきハードルは、携帯電話サービスの提供に必須となる電波の割り当てを、総務省から受けること。そこで楽天は、総務省が実施した4G向けの新しい周波数帯の割り当てに申請をした。

2月27日に「Mobile World Congress 2018」の基調講演に登壇した楽天の三木谷浩史社長。新しい周波数帯の割り当てを申請し、携帯電話事業への参入を明確に打ち出した。写真は同イベントより
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 実際、総務省が2月27日に発表した「第4世代移動通信システムの普及のための特定基地局の開設計画に係る認定申請の受付結果」によると、大手3キャリアに加え、「楽天モバイルネットワーク」の名義で楽天も申請したことが明らかになった。今回新たに割り当てられるのは1.7GHz帯が2枠と3.4GHz帯が2枠。これに加えて、現在NTTドコモに東名阪向けとして割り当てられている1.7GHz帯の、東名阪以外の割り当ても同時に行われる。ただし、楽天モバイルネットワークがどの周波数帯を申請したかは、現時点では明らかにされていない。

 総務省は以前から大手3キャリアの寡占を嫌っており、新規参入事業者を優遇したい考えを持っている。それだけに、楽天モバイルネットワークの申請内容に大きな問題がなければ、いずれかの周波数帯を確保できる可能性が高い。

 また楽天は、3月6日に東京電力グループと、基地局の設置における設備活用で合意したことを発表。東京電力グループが持つ送電鉄塔や配電柱などを携帯電話のインフラに活用する方針を打ち出した。東京電力がカバーする関東圏に限られるものの、周波数帯獲得後のインフラ整備に向けた準備を進めている様子がうかがえる。