2018年1月31日、富士通が携帯電話事業の売却を発表、中国のスマートフォンメーカーであるOPPO(オッポ)が日本市場参入を打ち出す一方で、MVNO(仮想移動体通信事業者)のLINEモバイルがソフトバンクと提携するなど、携帯電話業界にとっての重大発表が相次いだ。中でも驚きが大きかったのがKDDIの社長交代人事である。

 KDDIは同日に開いた緊急記者会見の席で、田中孝司代表取締役社長が代表取締役会長職に就き、副社長の高橋誠氏が4月1日付で代表取締役社長に就任すると発表した。現在の会長で、KDDIの初代社長でもある小野寺正氏から2代目の田中氏への社長交代が2010年12月、それから約7年のタイミングで3代目社長が誕生することとなった。

KDDIは1月31日、田中氏から高橋氏への社長交代を発表。4月より高橋氏による経営体制が敷かれる。写真は同日のKDDI記者会見より
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かつてのKDDIの“顔”が新社長に

 新社長に就任する高橋氏は、KDDIの前身の1つである第二電電(DDI)の出身で、新規事業の立ち上げに多く関わってきた人物。小野寺社長時代には新製品発表会でのプレゼンテーションを数多く担当するなど、“KDDIの顔”としてメディアにも頻繁に登場していた。当時、“iモードの父”とも呼ばれていた夏野剛氏(現ドワンゴ取締役)が“NTTドコモの顔”として新製品発表会でプレゼンテーションをしていたことから、両者はある意味ライバル関係にあったとも言える。

小野寺社長時代、高橋氏は新製品やサービスの発表会でのプレゼンテーションを担当するなど、“KDDIの顔”として積極的に活動していた。写真は2010年7月7日の「Run Pit by au Smart Sports」内覧会より
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 田中体制となってからは、2010年に買収したジュピターテレコムの経営に参画する一方、グローバル事業などを担当。2017年からは副社長兼経営戦略本部長として田中氏を支える立場にいた。そうした経歴を見れば、高橋氏の社長就任はある意味で順当と言えそうだ。

 気になるのは、中期計画の途中であり、業績も好調なKDDIが、あえて今、社長を交代する理由が見当たらないことである。