日本で最も人気の高いスマートフォンである、アップルのiPhoneシリーズ。これまでiPhoneを販売できるのは、販売力のある大手キャリア(通信事業者)に限られてきた。ところが最近は、MVNO(仮想移動体通信事業者)でもiPhoneを扱うケースが増えている。アップルと直接取引のないMVNOが、どうやってiPhoneを調達しているのだろうか。

iPhoneを正規に扱えるのは大手3キャリアのみ

 「iPhone大国」と言われるほど、日本におけるiPhoneシリーズの人気は高い。特に10代、20代といった若い世代からの支持は絶大で、スマートフォン販売数の半数近くをiPhoneが占めている。

 それだけに携帯電話会社にとっては、iPhoneを取り扱うか否かが競争力を大きく左右する。過去を振り返っても、顧客の流出が続いていたKDDI(au)は2011年の「iPhone 4S」の販売を機に人気を回復したし、2013年までiPhoneの取り扱いがなかったNTTドコモも「iPhone 5s/5c」の販売を開始するまで毎月10万単位の純減に苦しんだ。これらの例を見ても、iPhoneがキャリアの業績をいかに大きく左右するかが分かる。

 現在では3キャリアともiPhoneの最新機種を取り扱うようになったわけだが、そのiPhoneを販売できなかったのが独立系のMVNOである。iPhoneを正規に調達して販売するにはアップルと直接取引する必要があるからだ。

圧倒的なiPhone人気を受け、現在では大手キャリア全てがiPhoneを取り扱い、主力商品としている。写真は2017年9月22日に行われたNTTドコモの「iPhone 8」「iPhone 8 Plus」「Apple Watch Series 3」発売記念セレモニーより
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 アップルにとって端末販売はビジネスの主軸であるため、同社との取引には相当数の販売を見込める規模の顧客基盤が求められるようだ。ところがMVNOの顧客基盤は、個人向けサービスで最も加入者数が多いといわれる「楽天モバイル」でさえ140万を超える程度。メインブランドだけで2000万以上の契約数を誇る大手キャリアと比べるとその差は歴然だ。

 なお、UQコミュニケーションズの「UQ mobile」やビッグローブの「BIGLOBEモバイル」など、iPhoneを正規に取り扱うMVNOも存在するが、これらはいずれも大手キャリアの一角を占めるKDDI系列のMVNOである。ソフトバンクのサブブランドである「ワイモバイル」も同様だ。大手キャリアと関連のない独立系のMVNOがアップルと直接取引するのは、非常に困難なことなのである。

UQ mobileやワイモバイルなど、キャリアの系列やサブブランドなら、型落ち品に限定されるものの、MVNOでもiPhoneを正規に取り扱うことができる。写真は2017年11月30日の“ワイモバイル”新商品・新サービス発表会より
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