「TRENDY EXPO」での講演を前に、プロジェクションマッピングの第一人者、村松亮太郎氏をインタビュー(第1回はこちら第2回はこちら)。最終回では、その発想はどのように生まれているのか、また、新たな分野への挑戦について聞いた。

NAKED(ネイキッド)代表、村松亮太郎氏
NAKED代表。クリエイター。TV/広告/MVなどジャンルを問わず活動。長編映画4作品を劇場公開、短編作品と合わせて国際映画祭で48ノミネート&受賞。主な作品に、東京駅の3Dプロジェクションマッピング『TOKYO HIKARI VISION』、東京国立博物館 特別展「京都-洛中洛外図と障壁画の美」プロジェクションマッピング『KARAKURI』。山下達郎30周年企画『クリスマス・イブ』MV&ショートフィルム&マッピングショー、星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳『Gift -floating flow-』総合演出、『TOKYOガンダムプロジェクト2014ガンダムプロジェクションマッピング "Industrial Revolution"-to the future-』映像演出、auスマートパス presents 進撃の巨人プロジェクションマッピング「ATTACK ON THE REAL」演出、NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」タイトルバックなど。映像のみならず空間全体の演出を手がける
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――プロジェクションマッピング以外にもさまざまな活動を行う中で、普段どこから発想を得ていますか

村松亮太郎氏(以下、村松): 難しいですよね(笑)。どうやって発想が浮かぶのか、ということもよく聞かれるのですが、自分でもうまく説明ができなくて。感覚的なことしか言えないですが。例えば「プロジェクションマッピング=ヒット商品」というように、カテゴリーに分けるとか、ワンワードにするということが間違いだと思っています。どんどん普通のものになっていくというか。私はできる限り、カテゴリー化できないもの、ラベル化できないもの、もっと言うと言語化できないものに興味があります。なぜ映像で表現をしているかというと、言葉だけで伝わらないものをやりたいからです。映画を作ったときもよく「この映画のテーマはなんですか」とか聞かれましたが、「映画を観てよ」とか思ってしまいます(笑)。言葉で言えないことをやっているから役者さんに身体表現をしてもらったり、映像そのもので表現したりしているわけなので。

頭の中で情報をカテゴリー化しない

村松: 発想法としては、頭の中が天空の星空のようなイメージでしょうか。例えば、あの星とあの星をつなげるとこんな形に見える、と星座を作るようなイメージに近いかもしれません。整理して分けてしまうと、それぞれの情報をつなげられなくなる。一見全然つながらないようなものをつなげた時のほうが面白いわけです。だから、カテゴリーに分けないで、できるだけ情報をふわっと頭の中に浮かばせて全体を捉えられるようにしています。

――アイデアを発想する際、ビジネスでの展開はどの程度、考えられているのですか

村松: ビジネスは最後に後付けですね。それが人々に必要とされているものだったり、本質的な進化の先にあるものだったりするなら、ビジネス的な要素は必ず満たすという考えです。そうでないものは、社会に必要とされていないということですから、ビジネスとしてもたいして成功しないでしょう。

――日本の大きな課題と言われている地方創生についてはいかがですか

村松: 色々と動いています。長野県阿智村のプロジェクトはまさに地方創生の活動となります。まずカフェ「STAR VILLAGE CAFE by NAKED」を作りましたが、これは序章でしかなく、実は3年後、5年後のビックピクチャーが描かれていいます。私たちがやっていることは、ほぼ「村おこし」です。クリエイティブ×コミュニケーションで課題を解決していく、ということをやっています。従来のコンサルティング業というのは、理論を出したり、マーケティングデータを出したりが中心でしょう。しかし、そういった提案の先にあるもの、つまり、お客さんに何が届いたかが唯一説得力を持つと思っていて、そのための表現を考え、実現させるのが私の仕事です。

 ただ、それをやるには村がどうなりたくて、どうならないといけないかをしっかりと見つけ出さないといけない。うちの会社の理念が“コアクリエイティブ”ですので、この表現の根っこは何だということを一番大事にしています。

STAR VILLAGE CAFE by NAKED
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――「表現の根っこ」は、どのあたりにあるのでしょう

村松: オシャレにしているとか、今までやってきたことを無視して変えているようなところが多すぎると思います。あと、その場所が本来持っているものへのリスペクトがとても大事です。「なぜ、そうなりえるのか」が欠落したまま動いてもうまくいかないですよね。本当にそれでいいのか。将来、どういう町や村になるべきなのか、ということを私たちは一緒に話し合って作るというスタンスです。イベントを1回やって完了とするのは簡単ですが、本当にそれでいいのか。

BREATH HOTEL 「BREATH THE ILLUSION」ルーム101号室 ©BREATH HOTEL
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――今後、作品のスケールもさらに大きくなっていきそうですね

村松: まだ発表できないものも含めて、スケールが大きくなっているのは事実です。「いけばな草月流」とアライアンスを組んで、「FLOWERS by NAKED」という新しい体験を提案するイベントも実施します。

 ただ、スケールの大きさはあくまでも方向性の一つであって、例えばその対極として、「BREATH HOTEL」という作品があります。これは、オーシャンビューが特徴のホテルにあった「海が見えない部屋」を、プロジェクションマッピングを使って「オーシャンビューを超えた価値のある景色が楽しめる部屋」にしたものです。このようにパーソナルな空間という方向性もあると思います。もう一つはエンターテイメントですね。私が一番やりたいところでもあるのですが。私はシルク・ドゥ・ソレイユがとても好きです。サーカスを芸術性の高いエンターテイメントに昇華させたものですから。シルク・ドゥ・ソレイユがサーカスに対してやったことを、私は映画に対してやりたい。舞台やプロジェクションマッピングを融合することで、そういうものになるのではないか。挑戦したいと思っています。

(構成/舟橋亮人=スプール、持田智也 写真/皆木優子)

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