“爆買い”が話題となっている、インバウンド(訪日外国人観光客)の定番スポットといえば「ドン・キホーテ」。外国人観光客のニーズに素早く対応してきたドンキのインバウンド事業を担うジャパン インバウンド ソリューションズの中村好明社長が独自のノウハウを披露する。

ドン・キホーテグループ
ジャパン インバウンド ソリューションズ
中村好明社長
2000年ドン・キホーテ入社。2008年7月、社長室ゼネラルマネージャー兼インバウンドプロジェクトの責任者に就任。インバウンド関連売り上げを5年間で10億から400億円超に急拡大させた。2013年7月、ジャパンインバウンドソリューションズを設立、代表に就任。自社店舗のみならず、日本各地の自治体や民間企業との連携により、地方での訪日客誘致の支援事業を行っている。ハリウッド大学院大学客員教授、神戸山手大学客員教授、日本インバウンド教育協会理事、日本ホスピタリティ推進協会グローバル戦略委員長。全国免税店協会副会長
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――ドン・キホーテでは、いつごろからインバウンド事業を始めたのでしょうか。

 ジャパン インバウンド ソリューションズ 中村好明社長(以下、中村):2008年7月1日からです。当時はインバウンドの「イ」の字もありませんでしたから、インバウンド市場を学ぶために海外に出かけて市場調査を行うなど、インフラ整備とプロモーションから始めました。

 ドン・キホーテは流通業のなかでいち早くインバウンドに取り組んだので、メディアや各方面から「ドン・キホーテさんも国内だけでは厳しくなってきたんでしょ」なんて意地悪な質問を受けることもありました。今もそうですが、そのころも毎年増収増益が続いていましたから、決して国内が厳しいからインバウンドを始めたわけではなかったんです。この先大きな市場になるとわかっていたので、10年後、20年後を見据え、早くから動き始めた。そのアドバンテージが今の訪日外国人観光客の集客力につながっているわけです。先を読むことの大切さを改めて感じています。

――インバウンド事業の前は、何を担当していましたか。

中村:ドン・キホーテに入社してからずっと新規事業を担当してきました。既存事業の延長ではなく、これまで新規事業のいろいろなプロジェクトで試行錯誤してきたことの集大成としてインバウンドに取り組みました。新業態への挑戦と違い、このインバウンド事業はドン・キホーテの持つリソースを全て使うことができますから、ローコストでハイリターンなんです。なんてすばらしい新規事業だろうと思いましたね。やればやるだけ売り上げが伸びましたから。

――具体的にどんなことをしたのですか。

中村:全店の多言語店内放送、多言語のコーナーPOPの導入、そして「ようこそ!カード」というポイントカードを作り、免税の売り上げが即座に分かる仕組みを構築しました。どの国のどの都市から来た人が何を購入したか分かるので、そのデータをマーケティングに生かし、それに基づく迅速な対応が可能になりました。

 例えば、タイの人に人気のある商品にはタイ語のPOPを付けるとか、Aという商品とBという商品がまとめ買いされていると分かったらAとBを近くに陳列するとか。ドン・キホーテでは売り場を「買い場」と呼んでいますが、「ようこそ!カード」のデータをこまめにフィードバックしていくと、買い場がどんどん変わっていきます。流通業はまさに“変化対応業”だと思うんです。きめ細かい対応ができるようになり、現場(店舗)のモチベーションが上がりました。それが最初の段階でしたね。

 それから徐々に免税対応店を増やしていき、今は全店で対応しています。2014年10月の新免税制度によって消耗品も免税対象になってから、いわゆる“爆買い”が始まったわけですが、主要店舗は免税専用カウンターを新設しました。免税手続きでレジが込んでしまうと国内のお客様に迷惑がかかる。インバウンドが伸びても、国内が減ってしまっては意味がありません。先手を打って積極的に変化に対応したのがよかったんだと思います。

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