50~60歳代を中心とした「目利き世代」をターゲットに、パナソニックが生活家電製品「Jコンセプト」シリーズを発売してから1年以上が経過した。3万人以上の家電に対する調査やユーザーテストを実施して、ターゲットが求める機能を絞り込んだだけでなく、「日本の美」を強く意識したシンプルなデザインが受けてヒットしている。では、Jコンセプトはどのように生まれたのか。ヒットした要因は何なのか。TRENDY EXPO TOKYOの登壇を前に「Jコンセプト」シリーズのマーケティングを担当する古長亮二氏に話を聞いた。

古長亮二(こちょう・りょうじ)氏
パナソニック アプライアンス社 日本地域コンシューマーマーケティング部門 コンシューマーマーケティングジャパン本部 コミュニケーション部 プランニング課 担当課長。1996年、長崎大学経済学部卒業。同年、三洋電機に入社する。2010年、同社マーケティング本部 事業企画部 マーケティング二課 課長として、新・ベーカリー「GOPAN(ゴパン)」のマーケティングを担当。2015年、パナソニックに転籍。現在、国内家電商品(「エアコン・冷蔵庫・洗濯機」「Jコンセプト」「調理」)などの宣伝企画を担当している
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「マイナスのものづくり」への取り組み

――2014年9月に「Jコンセプト」を発表してから1年が経過しました。これまでの市場の反応や手応えはいかがでしょうか。

古長亮二氏(以下、古長): 想像以上に良い反応をいただいていると思います。高価格帯中心のシリーズにも関わらず、第1弾として発売した本体重量が世界最軽量の掃除機(2014年11月発売の「MC-JP500G」)や、9月に発売したばかりの小容量タイプ(3合炊き)の炊飯器(SR-JX055)を中心にかなり好調に推移しています。

――エアコンについてはハイエンドモデル=Jコンセプトモデルという位置付けになっています。しかし冷蔵庫などは通常のモデルとは違って野菜室が真ん中に配置されており、「真ん中野菜室の冷蔵庫が欲しい」というシニア以外のユーザーニーズもしっかり押さえているような印象を受けます。

古長氏: 50-60代の方が冷凍室よりも野菜室の使用頻度やニーズの高いことから「野菜真ん中」のレイアウトになりました。野菜室の配置というのもありますが、当社としては「4ドア」を採用したのが最も大きなトライアルでした。

 今回のJコンセプトモデルのものづくりのアプローチの中で、約3万人のお客様の声を聞きながら、「技術シーズ」より「顧客ニーズ」を優先してものづくりをしました。その中の大きな取り組みとして、「マイナスのものづくり」があります。

 例えば冷蔵庫の場合、市場では6ドアが中心なのに対し、4ドアを採用しました。掃除機に対するお客様のニーズが「軽さ」にあることがわかったことで、吸込みのパワーではなく小型軽量化を追求しました。多機能を追求するのではなく、お客様の使いやすさやデザイン性を優先し、割り切っていくのです。

――機能や性能を“足す”のではなく、“引く”ということですね。

古長氏: そうです。ものづくりをしているメーカーにとっては、お客様にマイナスの印象を持たれるのではないかと、とても怖いことです。

 あくまでもお客様の声を聞き、そこに思い切って特化した商品が売れているように思います。例えば掃除機の場合、軽さを追求したことで、新素材の採用や軽量モーターの新開発が可能になりました。そういったところに徹底的にこだわったところが、受け入れられたポイントではないかと思います。

――購入されているのは、狙い通りシニア層が中心になっているのですか?

古長氏: 50-60代が中心であることは確かですが、それに加えてそこに価値があると感じた方、30代、40代の若い方も含めて広がりを見せてきています。