この記事は「日経トレンディ」2016年10月号(2016年9月4日発売)から転載したものです。内容は基本的に発売日時点のものとなります。

 メルセデス・ベンツの中級モデル「Eクラス」が7年ぶりに全面刷新された。大きな特徴の一つが、カーブでのハンドル操作を含む“自動運転”機能を搭載したことだ。この「ドライブパイロット」機能をオンにすれば、先行車両がいれば距離を一定に保ちながら加減速する他、カーブに沿ってハンドルを自動で切る。渋滞時には、先行車両が止まれば自動でブレーキがかかって停止し、先行車両が動けば再び走り出す。

 同様の機能は、すでに日産自動車「セレナ」やアウディ「A4」などにも搭載されている。Eクラスが優れるのは、前方の状況認識にステレオカメラと複数のミリ波レーダーを組み合わせるなど、“目”となるセンサーの性能が他より高い点にある。

 実際に公道を走らせてみると、路面の白線の認識精度が高いうえガードレールなども判別できるためか、自動でのハンドル操作が他よりも正確で滑らかな印象を受けた。ウインカーレバーを操作すると自動で車線変更する点でも、セレナやA4に先行している。

 さらに自動ブレーキは歩行者を認識するだけでなく、衝突の危険性が高い場合はハンドルを自動で切るのも特筆すべき機能だ。現時点で実用レベルのハイテク安全装備を、ほぼすべて詰め込んだことが、Eクラスの魅力をこれまで以上に高めたと言っていい。

メルセデス・ベンツ日本「Eクラス」
車両本体価格/675万~988万円(税込み)
サイズ・重さ/全長4930×全幅1850×全高1455mm・1670kg
エンジン/直列4気筒DOHターボ、1991cc
最高出力・最大トルク/エンジン135kW(184ps)/5500rpm・300Nm(30.6kgm)/1200~4000rpm
JC08モード燃費/14.7km/L
 ※諸元はE200 アバンギャルド

高速道路での自動運転機能をオンにすると、ハンドルに軽く手を添えるだけで車線を維持する
高速道路での自動運転機能をオンにすると、ハンドルに軽く手を添えるだけで車線を維持する
エンブレム裏のミリ波レーダー(左)やステレオカメラ(中)、ドアミラー下部のカメラ(右)などを用いる

ダウンサイジングしてもパワーはキープ

 最近のトレンドであるエンジンのダウンサイジング化も進んだ。かつてEクラスの主力モデルは排気量が3L以上だったが、それを約2Lに減らすなどして、燃費は最大14.7km/Lに向上できた。

 だが、パワーは損なわれていない。車体が最大70kgも軽量化されたうえターボを搭載しているので、発進時の加速には十分な力強さが感じられる。それでいて、乗り心地は最新のメルセデス・ベンツらしく重厚かつしなやかで、静粛性が高い。700万円前後する高級車ならではの走りを実感できた。

ダッシュボードに2枚の大型モニターを備える
ダッシュボードに2枚の大型モニターを備える
運転席正面のモニターには計器類の他、ナビや燃費などの情報も表示できる
運転席正面のモニターには計器類の他、ナビや燃費などの情報も表示できる
エンジンは約2000ccにまでダウンサイジング。ターボ付きなので十分なパワーを感じられた
エンジンは約2000ccにまでダウンサイジング。ターボ付きなので十分なパワーを感じられた

(文/日経トレンディ編集部)

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