この記事は「日経トレンディ」2016年10月号(2016年9月4日発売)から転載したものです。内容は基本的に発売日時点のものとなります。

 食器にシュッとひと吹きして、水で洗い流すだけで、みるみる汚れが落ちる――。そんな画期的な食器用洗剤が、花王の「キュキュット CLEAR泡スプレー」だ。

 この商品の利点は、スポンジが届きにくい部分の汚れをスプレーで狙い撃ちして、簡単に落とせること。弁当箱のパッキンの溝や水筒の中栓、ストローの内側に加え、触るのが怖くて洗いにくかったジューサーの刃や下ろし金などに適し、食器洗いの“完成度”が増す。

 CLEAR泡スプレーの洗浄成分は、既存のキュキュットと異なる独自処方。新採用した界面活性剤の働きによって、スプレーした泡が脂汚れの奥まで急速に浸透し、脂と脂の結び付きを崩壊させる。「複数の食器をスポンジで洗うことを前提とした既存商品には、泡持ちを良くする成分を配合しているが、個々の食器を洗うCLEAR泡スプレーでは必要ない。そのぶん、洗浄成分の濃度を高めている」(花王)という。そのため、細かな泡が立つ既存商品に対し、CLEAR泡スプレーの泡は少々粗め。吹きかけるとパチパチ弾け、キレが良いので水でサッと流せる。

 花王は容器も新開発した。狙ったところにピンポイントで泡を吹きかけられるよう「蓄圧式スプレー」を採用。トリガーを引くと内部に空気圧がかかる機構ながら、軽い力でシュッとスプレーできる。

花王「キュキュット CLEAR泡スプレー」
予想実売価格/300円前後(税別)、付け替え用250円前後(同)
容量/300ml
液性/中性
成分/界面活性剤(16%、アルキルヒドロキシスルホベタイン)、安定化剤、金属封鎖剤、除菌剤

陶器の下ろし皿に脂汚れを付けて実験。既存のキュキュットは突起の隙間に汚れが残ったが、泡スプレーはほぼ完璧
陶器の下ろし皿に脂汚れを付けて実験。既存のキュキュットは突起の隙間に汚れが残ったが、泡スプレーはほぼ完璧
既存の食器用洗剤と異なり、キュキュット CLEAR泡スプレーは独自の界面活性剤が脂汚れの奥まで浸透する
既存の食器用洗剤と異なり、キュキュット CLEAR泡スプレーは独自の界面活性剤が脂汚れの奥まで浸透する
既存の食器用洗剤と異なり、キュキュット CLEAR泡スプレーは独自の界面活性剤が脂汚れの奥まで浸透する
既存の食器用洗剤と異なり、キュキュット CLEAR泡スプレーは独自の界面活性剤が脂汚れの奥まで浸透する

スポンジが届きにくい部分の汚れ対策に

 実際に、赤く染めた脂汚れを陶器の下ろし皿に付けて洗浄力を試した。既存のキュキュットを使ってスポンジで洗うと、小さな突起部分に汚れが残ったが、CLEAR泡スプレーを使って水で流した場合は、ほぼ洗い残しがなかった。指で触ると、ヌルッとした脂は落ちており、きれいな洗い上がりだ。

 CLEAR泡スプレーは、1本300ml入りで税別300円前後。既存のキュキュット(240ml)は同180円前後なのでやや高めだが、スポンジが届きにくい部分汚れ対策にプラスアルファで備えておきたい。

スプレーした泡はやや粗め。1分ほど待って洗い流せば、きれいに汚れが落ちる
スプレーした泡はやや粗め。1分ほど待って洗い流せば、きれいに汚れが落ちる
ジューサーの刃や弁当箱の溝、ストローの内側など、スポンジでは洗いにくい部分にスプレーするだけで汚れを落とせる。大量の油が付いたフライパンなどの予洗いに使えば、スポンジの汚れを防げるのも利点だ
ジューサーの刃や弁当箱の溝、ストローの内側など、スポンジでは洗いにくい部分にスプレーするだけで汚れを落とせる。大量の油が付いたフライパンなどの予洗いに使えば、スポンジの汚れを防げるのも利点だ
記者の目
新規性 ⇒ スポンジで洗いにくい“見えない汚れ”を手軽に落とせるのが画期的

実用性 ⇒ 狙った場所に的確に泡をスプレーでき、脂汚れもきれいに落とせる

価 格 ⇒ 既存の食器用洗剤より高めだが、部分洗い用に備えておく価値あり

担当者の
花王 ホームケア事業グループ ブランドマネジャー 小出敏治氏
花王 ホームケア事業グループ ブランドマネジャー 小出敏治氏
 食器洗いの負担を軽減するために、花王は食器用洗剤の1滴の価値をいかに高めるかという研究を進めてきた。その技術が結実したのが、スポンジでこすらずに洗えるCLEAR泡スプレーだ。今どきの便利なキッチンツールは形状が複雑なものが多く、洗うのに手間がかかるうえ、溝や隙間などに残っているであろう“見えない汚れ”に対する潜在的な不安も増えている。こうした時代背景も開発を後押しした。部分洗い用のCLEAR泡スプレーを使う新習慣を根づかせ、市場を活性化したい。

(文/日経トレンディ編集部)

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