この記事は「日経トレンディ」2017年9月号(2017年8月4日発売)から転載したものです。内容は基本的に発売日時点のものとなります。

 映像に包み込まれ、物語の中に入ったかのよう――。そんな新感覚の劇場「スクリーンX」が、東京・お台場のユナイテッド・シネマにオープンした。

ユナイテッド・シネマ「スクリーンX」
導入施設名/ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場(東京都港区台場1-7-1 アクアシティお台場内)
料金/通常鑑賞料金に700円(税込み)追加
上映作品/『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』(8月まで)、『新感染 ファイナル・エクスプレス』(9月1日から)

 特徴は、正面スクリーンだけでなく、左右にも映像が映し出される点。両サイドの映像は天井に設置された左右それぞれ4つのプロジェクターから投映される。両サイドにスクリーンがあるわけではなく、壁に直接投映される仕組み。ただ、壁の素材は通常のものと変えられているので、映像に違和感はなかった。

 このシステムを開発したのは韓国のCJ CGV。すでに韓国や中国、北米などに100を超える劇場がある。韓国や中国ではスクリーンX対応の映画タイトルが増えており、今回、ハリウッドでは初となるスクリーンX対応タイトル『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』が完成。これに合わせて、日本にも初上陸した。

閉鎖的な空間を表現するのも得意

 残念ながら、今のところ3面が同時に撮影されたタイトルはなく、左右に映し出されるのは、正面スクリーンに続く映像をCGで制作したものや、カットされた素材を組み合わせたもの。また3面に投映されるのは、2時間強の上映時間のうち、30分程度と限定的だ。

 CJ CGVのチェ・ビョンファン氏によると、特に効果が高いシーンは、壮大な自然の風景や主人公がメイン画面の外に出ていく場面。また、閉鎖的な空間を表現するのも得意という。

 実際に見たところ、3D映像のような立体感や没入感があった。ただ、驚くような演出は少ない。「制作者の意図に沿うよう、メイン画面を邪魔しない表現にとどめている」(チェ氏)。

 700円の追加料金を払っても割に合う迫力と感じたが、人によっては物足りなく思うかもしれない。

「当初からスクリーンXでの上映を想定したタイトルも企画中」(チェ氏)といい、今後に期待だ。

追加料金は700円。お台場での反応を見て、他の施設への導入も検討していくという
追加料金は700円。お台場での反応を見て、他の施設への導入も検討していくという
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(文/日経トレンディ編集部)

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