ジャガイモを乾燥加工したポテトフレークを原料とする「成型ポテトチップス」。筒型ケースでおなじみのこの分野に、カルビーが満を持して新商品「ポテトチップスクリスプ」を投入する。
成型ポテトチップス市場は、ヤマザキナビスコ「チップスター」と日本ケロッグが輸入する「プリングルス」の2商品が大半のシェアを取り、94年にプリングルスのサワークリーム&オニオン味がヒットして以来、競争がなく停滞していた。「調査したところ、客がこの2つを買う理由は味より『携帯性』。おいしい商品を作ればまだ伸びる市場だと考えた」と、カルビー・御澤健一氏は言う。この商品で市場全体を活性化し、年間売り上げ100億円、シェア40%を取るという本気の攻勢をかける。
味を徹底的に追求するべく、原料のポテトフレークは、ホクホクとした食感と揚げ色が特徴の欧米のラセット・バーバンクに限定した。食べてみると、ひと口に収まるサイズで、競合2商品に比べてやや硬め、パリッと小気味よい音がする。生地水分量をコントロールする技術力の成果だという。
●内容量/50g(Sサイズ)、115g(Lサイズ)
発売を延期した理由とは
さらに、同社の看板商品である袋入りポテトチップスと同様に、塩やコンソメの風味を強く感じる。メインの調味料を生地に混ぜ込んで揚げるのではなく、ベースの塩のみを生地に混ぜ込み、味を決める調味料は揚げてから「後がけ」する方式だからだ。「調味料をかけてタンブラーでかくはんできる通常のポテトチップスと違い、一枚一枚に調味料をかけるのが困難だった」(御澤氏)。確かに、すべてのチップスの片面に均一に調味料がかかっていた。
2015年8月に発売する予定だったが、形をそろえる、調味料を偏りなくかけるといった課題をなかなかクリアできず、苦渋の決断で発売延期。8月1日に北海道、8月22日に東北・信越、10月10日には関東で先行販売が始まり、順次エリアを広げる予定だ。
(文/日経トレンディ編集部)