縮小が続くPC市場で唯一成長を続けているのが、キーボードを着脱することでタブレットにもPCにもなる2in1ノートPC。マイクロソフトが「サーフェス」を投入して市場を開拓し、アップルもキーボード対応の「iPad Pro」で、PCの代替需要を取りにいっている。
ここにスマートフォンメーカーが目を付けた。中国の大手・ファーウェイが、「ファーウェイ メイトブック」でPCに新規参入する。売りは、「スマホで培ったモバイル技術」(ファーウェイ・ジャパンプロダクトソリューション統括部本部長のコリン・コン氏)だ。
特徴の第1は、軽量・薄型であること。代表的な2in1ノートPCであるマイクロソフトの「サーフェス プロ 4」と比較すると、重さは約120g軽く、厚さは1.5mm薄い。また、スマホでトレンドとなっている狭額縁デザインを採用。液晶の周囲の縁を僅か1cmに抑え、12型の画面サイズでありながら、11型のタブレットと同等の大きさになっている。
もう一つの特徴は、指紋認証を採用したこと。本体横にある指紋センサーに指をスライドさせるだけで、すぐにロック解除ができる。従来のPCのようにキーボード操作が必要なく、スマホと同じように直感的に使える。
●サイズ・重さ/幅278.8×高さ194.1×厚さ6.9mm・約640g
●CPU/インテルCore m5-6Y54
●メモリー/RAM4GB、ROM128GB
●ディスプレイ/12型IPS液晶(2160×1440ドット)
●カラー/ゴールド・グレー
※スペックは一般向けM5モデルのもの。右写真のキーボードは別売り
スマホらしさのデメリットもあるが、価格は魅力的
ただ、“スマホらしさ”にはデメリットも感じた。例えば、売りである狭額縁デザイン。スマホならば気にならないが、重さのあるタブレットの場合、手でつかんで持つ必要があり、画面の一部が隠れてしまう。薄型化したことによる使用時の発熱もやや気になった。
PCとしての詰めの甘さは感じるものの、それを上回る魅力が価格。最安モデルの実勢価格は税別 6万9800円で、サーフェスの同等モデルより4割安い。ブランド力は劣るが、一定のシェアは獲得するだろう。また、スマホメーカーということで、今後はLTE対応モデルの投入も期待される。
(文/日経トレンディ編集部)