この記事は「日経トレンディ」2016年9月号(2016年8月4日発売)から転載したものです。内容は基本的に発売日時点のものとなります。

 縮小が続くPC市場で唯一成長を続けているのが、キーボードを着脱することでタブレットにもPCにもなる2in1ノートPC。マイクロソフトが「サーフェス」を投入して市場を開拓し、アップルもキーボード対応の「iPad Pro」で、PCの代替需要を取りにいっている。

 ここにスマートフォンメーカーが目を付けた。中国の大手・ファーウェイが、「ファーウェイ メイトブック」でPCに新規参入する。売りは、「スマホで培ったモバイル技術」(ファーウェイ・ジャパンプロダクトソリューション統括部本部長のコリン・コン氏)だ。

 特徴の第1は、軽量・薄型であること。代表的な2in1ノートPCであるマイクロソフトの「サーフェス プロ 4」と比較すると、重さは約120g軽く、厚さは1.5mm薄い。また、スマホでトレンドとなっている狭額縁デザインを採用。液晶の周囲の縁を僅か1cmに抑え、12型の画面サイズでありながら、11型のタブレットと同等の大きさになっている。

 もう一つの特徴は、指紋認証を採用したこと。本体横にある指紋センサーに指をスライドさせるだけで、すぐにロック解除ができる。従来のPCのようにキーボード操作が必要なく、スマホと同じように直感的に使える。

ファーウェイ・ジャパン「HUAWEI MateBook」
実勢価格/9万9800円(税別)
サイズ・重さ/幅278.8×高さ194.1×厚さ6.9mm・約640g
CPU/インテルCore m5-6Y54
メモリー/RAM4GB、ROM128GB
ディスプレイ/12型IPS液晶(2160×1440ドット)
カラー/ゴールド・グレー
※スペックは一般向けM5モデルのもの。右写真のキーボードは別売り

別売りのキーボード(実勢価格は税別 1万4800円)を付けるとPCスタイルになる
別売りのキーボード(実勢価格は税別 1万4800円)を付けるとPCスタイルになる
スマホのトレンドを取り入れて、画面の縁を極力狭くして画面サイズを広げている
スマホのトレンドを取り入れて、画面の縁を極力狭くして画面サイズを広げている

スマホらしさのデメリットもあるが、価格は魅力的

 ただ、“スマホらしさ”にはデメリットも感じた。例えば、売りである狭額縁デザイン。スマホならば気にならないが、重さのあるタブレットの場合、手でつかんで持つ必要があり、画面の一部が隠れてしまう。薄型化したことによる使用時の発熱もやや気になった。

 PCとしての詰めの甘さは感じるものの、それを上回る魅力が価格。最安モデルの実勢価格は税別 6万9800円で、サーフェスの同等モデルより4割安い。ブランド力は劣るが、一定のシェアは獲得するだろう。また、スマホメーカーということで、今後はLTE対応モデルの投入も期待される。

本体横に指紋センサーを配置。スリープ状態の場合、指をスライドさせるだけでスリープから復帰できる
本体横に指紋センサーを配置。スリープ状態の場合、指をスライドさせるだけでスリープから復帰できる
スタイラスペン(税別 7800円)は2048段階の筆圧感知に対応している
スタイラスペン(税別 7800円)は2048段階の筆圧感知に対応している
ACアダプターは小型で110gと軽い
ACアダプターは小型で110gと軽い
キーボードは本体カバーを兼ねる。合成皮革製で4色展開
キーボードは本体カバーを兼ねる。合成皮革製で4色展開

(文/日経トレンディ編集部)

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