パソコンでは長い歴史を誇るものの、スマホ市場ではあまり実績のないHP。しかし、新製品の「エリート x3」はこの夏、大きな注目を集めるだろう。
最大の特徴は、別売りの「ノートドック」と無線で接続すれば、ノートパソコンとしても使える点だ。ノートドックの画面には、見慣れたウィンドウズの画面が表示される。メールやブラウザーのみならず、ワードやエクセルも、使い慣れた物理キーとタッチパッドで操作できるのだ。エリート x3のOSはウィンドウズ10モバイル。ノートドックは、同OSの新機能「コンティニュアム」を応用したものとなっている。
ノートドック側は画面やキーボードの他、電池くらいしか内蔵しておらず、メモリーやCPUはすべてスマホを利用。アプリやデータもスマホに保存されるので、データが分散する心配もない。なお、接続にはWi-Fiの他、USB(タイプC)も利用可能。接続中は、スマホの画面をタッチパッド代わりに使うこともできる。
●サイズ・重さ/幅83.5×高さ161.8×厚さ7.8mm・195g
●画面/5.96型有機EL・2560×1440ドット
●カメラ/1600万画素
●CPU/Qualcomm Snapdragon 820
●内蔵メモリー/RAM 4GB、ROM64GB
●バッテリー/4150mAh
※SIMフリー端末
野心的な商品だが、パソコンを駆逐するにはまだ道半ば
実は、業界には以前からノート型ドックというアイデアはあり、米国では商品化された例もある。これまではスマホのCPUの処理能力が低かったため、結局パソコンとしては使いものにならないケースが多かったが、ここ数年で状況は一変。エリート x3も、クアルコムの最新・最高性能のCPUを採用する。ウェブ閲覧や簡単なエクセルデータの編集程度では、処理能力に不満は感じなかった。
ただ、ノートドックはもちろんマルチタスクで使えるのだが、画面に複数のウィンドウを同時に表示することができない。使えるアプリはスマホ向けのもので、マイクロソフトのオフィスもフルバージョンではない点にも注意したい。また、ノートドックが意外に重い(スペック値は1kg強を予定)のも気になった。野心的な商品ではあるが、パソコンを完全に駆逐するには、まだ道半ばという印象だ。
(文/日経トレンディ編集部)