この記事は「日経トレンディ」2016年8月号(2016年7月4日発売)から転載したものです。内容は基本的に発売日時点のものとなります。

 「透明な水なのにしっかりとしたヨーグルト味」という意外感で、昨年大ヒットした「サントリー 南アルプスの天然水&ヨーグリーナ」(サントリー食品インターナショナル)。この牙城を崩す新勢力となるのが、アサヒ飲料が7月26日に投入する、「アサヒ おいしい水プラス『カルピス』の乳酸菌」だ。

 その名の通り、最大の売りはなじみ深いカルピスの味わいを透明な液色で再現していること。カギとなるのは、カルピスの製造工程で作られる一次発酵乳「カルピス酸乳」を配合した点だ。これは、「血圧が高めの方に」とうたう同社の特定保健用食品「アミールS」でも使われている健康素材。おいしい水プラス~での配合量はそう多くないが、乳酸菌由来の爽やかな酸味とともに、発酵時に出るカルピス特有の香りも取り込めるので、味わいの面で大きく寄与している。

 一方、液体の透明化を図るうえでは、牛乳に含まれるタンパク質で白濁したカルピス酸乳の存在がネックとなる。こちらは、「酸味料などの組み合わせを工夫してpHのバランスを取り、タンパク質の影響を最小限に抑えることで透明化に成功した」(アサヒ飲料商品開発グループの荒川慎司統括課長)と話す。

 実際に飲んでみると、しっかりとした甘さで、カルピス味としては同社の「カルピスウォーター」を少し薄めて透明にしたイメージ。カルピスウォーターが100ml当たり45kcalなのに対し、この商品は同29kcalと多少低いこともあり、よりゴクゴク飲みやすい商品設計といえそうだ。

アサヒ飲料
「アサヒ おいしい水プラス『カルピス』の乳酸菌」
予想実売価格/税別 124円(600ml)、税別 115円(275ml、自動販売機向け)
原材料/ナチュラルミネラルウォーター、果糖ブドウ糖液糖、砂糖、ミルクオリゴ糖、食塩、乳酸菌飲料、香料、酸味料、安定剤(大豆多糖類)

生乳から作った脱脂乳を、乳酸菌によって一次発酵させたものが「カルピス酸乳」(右写真)。酵母による二次発酵を経てカルピスになるが、おいしい水プラスはカルピス酸乳を配合

ギャップがある“透明シリーズ”を次々に投入

 アサヒ飲料は今年、見た目と味わいにギャップがある“透明シリーズ”を炭酸飲料でも次々に投入している。「三ツ矢澄み切るグレープサイダー」「同オレンジサイダー」を3月に発売したのに続き、7月19日には無糖炭酸の「ウィルキンソン タンサン」にコーラフレーバーを追加。もともとの強炭酸水に香料を加えたものだが、不思議と程よいコーラ風味を感じられる。全く甘くない“コーラ”なので、コークハイなど酒の割り材としても重宝するだろう。

アサヒ飲料
「ウィルキンソン タンサン ドライコーラ」
予想実売価格/税別 95円(500ml)
原材料/水、炭酸、香料

(文/日経トレンディ編集部)

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