夏が近づくにつれ悩まされる場面が増える蚊を、空気清浄機で吸い込んで捕獲する――。そんな世界初の製品をシャープが発売した。「蚊取空清 FU-GK50」は、一見すると一般的な空気清浄機とほとんど変わらない。だが実は、蚊を捕らえるためのさまざまな工夫が施されている。
最大の特徴は、蚊が近寄っていく習性がある紫外線(UV)ライトを内蔵した点だ。本体の内側で紫外線ライトを光らせ、引き寄せられた蚊を空気と一緒に吸い込む。
空気を取り込むために両サイドに並ぶ小窓の大きさにも、秘密がある。蚊が暗がりや物陰に隠れる習性に着目し、最も入りやすい穴の大きさと形状を、試行錯誤の末に見つけ出した。黒い本体色は空気清浄機としては珍しいが、これは蚊が黒い色に近づく習性を利用したものだ。
こうしておびき寄せられた蚊は、小窓から空気と一緒に吸い込まれ、裏蓋の内側にセットされた粘着シートにくっついて捕獲される。実際にどれほど蚊が取れるのか取材時点では試せなかったが、シャープによる実験では、捕獲率は88~98%に達したという。加湿機能はないが、空気清浄機能は同社の他の製品と同等だ。
●サイズ・重さ/幅391×高さ540×奥行き281mm・約5.9kg
●空気清浄適用床面積(目安)/23畳まで
●風量/0.8~5.1m3/分
●消費電力/1.8~50W
●運転音/18~51dB
東南アジアでは高額でも売れ行き好調
実は蚊取空清は、蚊が媒介する感染症に悩まされる東南アジアで、2015年9月に先行発売された製品。マレーシア保健省医療研究所の協力を得て実証試験を繰り返し、数年がかりで実用化にこぎ着けた。生産はタイ工場で、シャープとして初めて東南アジア向け製品を日本に“逆輸入”した格好だ。
東南アジアでは高額商品であるにもかかわらず、「強気の計画だったが、その2倍の売れ行き」(シャープ)と好調。国内では3月の発表後、すでに1000件以上の予約が入るなど、生産台数は当初計画の数倍になる見通しという。空気清浄機としては異例のヒットになりそうだ。
蚊の習性を利用して捕獲する |
・紫外線(UV)に集まる → 人には見えないUVライトを利用 |
・黒い色を好む → 本体色を黒のみに |
・暗がりや物陰に隠れる → 蚊が入りやすい小窓を設けた |
実用性 ⇒ すでに東南アジアで実績があり、日本でも効果が期待される
価 格 ⇒ 空気清浄機のボリュームゾーンで、機能を考えれば値頃感がある

(文/日経トレンディ編集部)