この記事は「日経トレンディ」2017年4月号(2017年3月4日発売)から転載したものです。内容は基本的に発売日時点のものとなります。

 固形のルウを入れ、溶けてとろみが出るまで待つ。そんな一般的なカレーの作り方とは一線を画したカレールウを、ハウス食品グループ本社が発売した。

 ロングセラー商品「バーモントカレー」の発売から半世紀以上。「“カレーのハウス”が満を持して投入する自信作」(西田太常務)が「きわだちカレー」だ。コクやスパイスが“際立っている”ことから命名されたこの商品は、ペースト状で4皿分の使い切りタイプ。子育てが一段落した50、60代の夫婦二人世帯に照準を合わせ、舌が肥えた大人もうならせる本格カレーを目指したという。

ハウス食品グループ本社「きわだちカレー」
実勢価格/250円(税別)
シリーズ/コクがきわだつ中辛、スパイスがきわだつ辛口
内容量/中辛155g、辛口134g(いずれも4皿分)

ルウはペースト状の使い切りタイプで、1袋で4皿分のカレーができる
ルウはペースト状の使い切りタイプで、1袋で4皿分のカレーができる
鍋に入れるとすぐに溶けてとろみが出た
鍋に入れるとすぐに溶けてとろみが出た

さっと溶けるのが最大の魅力

 7年以上の試行錯誤を重ねて開発したのは「素材いきいき製法」。ペースト状のルウの場合、加熱殺菌の過程ででんぷんが糊化し、とろみが出にくい欠点があった。今回は独自の低温殺菌技術を導入することで、とろみを保ちながらも、加熱で風味が損なわれるのを極力抑えることに成功した。ペースト状なので、さっと溶けるのが最大の魅力。加えて、トマトやリンゴ果汁、チャツネ(調味料)など、固形のルウでは使用に限界があったみずみずしい原料をふんだんに使えるようになり、スパイス本来の華やかな香りも引き出した。

■従来の固形ルウとの違い
■従来の固形ルウとの違い
「溶かすのが面倒」という固形ルウに対する不満を解消し、ルウに使う素材の風味も最大限引き出した
新製法により、トマトなどみずみずしい原料を多く使うことができるようになった
新製法により、トマトなどみずみずしい原料を多く使うことができるようになった

 ラインアップは中辛、辛口のみ。コクとスパイスの香りを楽しんでもらいたいと、あえて甘口は出さなかった。食べてみると、中辛ではリンゴの甘みが感じられ、辛口はスパイスの風味が前面に出ていた。同社の「こくまろカレー」と比べてみると、原料のフレッシュさがより引き立った印象だ。

 ハウス食品によると、カレールウの国内市場規模は500億円。きわだちカレーでは、初年度15億円の売上高を目指す。9月までに全国延べ3000店舗で店頭試食を展開する予定で、4皿分で税別250円とやや高めの価格設定ながら、市場の新たな起爆剤になりそうだ。

(文/日経トレンディ編集部)

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