前回の記事で解説した通り、写真の印象を左右する要素は「ボケ」と「動感」という視覚効果である。この視覚効果を決定づけるのが「露出」であり、露出は「絞り」と「シャッター速度」の組み合わせでコントロールできる。

 とりわけ、ボケは一眼レフを手にした人の多くが気になる要素ではないだろうか。ボケの量は、露出に加えて使うレンズの画角や明るさ、被写体との距離などいろいろな条件で変わってくるが、それらの条件が同じであればセンサーサイズが広い方が大きくなる。近ごろは、コンパクトデジカメでもボケ味をウリにした機種が増えているが、センサーの面積が広い一眼レフのほうが有利なのは間違いない。EOS 80Dは「APS-Cフォーマット」と呼ばれる大型センサーを採用している。それよりも小さなサイズのセンサーを搭載するコンパクトデジカメと比べ、ふわっとした柔らかなボケを表現しやすくなるのがメリットだ。

 ボケをうまく表現するためにまず覚えておきたいのが「絞り」だ。前回の記事でも少し触れたが、一眼レフを使っているビギナーの多くは、設定をすべてカメラ任せで撮影できる“かんたん撮影ゾーン”を使っていることが多い。確かに撮影の失敗は抑えられるが、これではカメラが持っている能力のごく一部しか引き出せない。

 「絞り」とは、レンズを通過する光の量を調節する機構のことだ。レンズの内部で薄い羽根が開いたり閉じたりすることで、光の通り道を開けたり絞ったりする。通常は羽根が隠れており、撮影する瞬間に設定した値まで羽根が現れて絞っていくから「絞り」というわけだ。まったく絞らず、光を最大限通して撮影することを「絞り開放」という。絞りを開けるほどピントが浅くなり、合わせたところの前後が大きくボケて表現される。反対に絞るとピントが深くなり、近くから遠くまでをシャープに写すことができる。

 絞りを調整して撮影する方法でもっとも簡単かつ確実なのは、Av(絞り優先AE)モードに設定することだ。絞り値を設定すると、あとは明るさをカメラが自動的に設定してくれる。装着しているレンズに表記されている「F」で始まる数字がそのレンズの明るさで、そこから絞るごとに数字が増えていく。ふわっとしたボケが欲しいのであれば、数字をもっとも小さな値に設定すればよいわけだ。

手前のチューリップにピントを合わせ、絞り開放で撮影。個人的には、これくらいの緩いボケのほうが雰囲気も伝わり、表現としてはちょうどいいように思う(EOS 80D使用、EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USM・焦点距離50mmで撮影、1/160秒、F5、ISO200)
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ほぼ平面なので絞り込まなくてもピントは合うのだが、キリッとシャープに描写してほしい場面なので約2段絞ってF8にして撮影した(EOS 80D使用、EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USM・焦点距離35mmで撮影、1/320秒、F8、ISO100)
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ボケを生かすといえば背景ばかりを気にしがちだが、手前をボカす“前ボケ”も奥行きや立体感を表現するのに効果的だ。構図に変化もつけやすい(EOS 80D使用、EF50mm F1.8 STM、1/800秒、F1.8、ISO100)
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