パソコン、スマホ両方で巻き返しを図る「Windows」ですが、その逆襲策は成功するのでしょうか? マイクロソフト事情に詳しいフリーランスジャーナリスト山口健太氏が解き明かします。前編記事のテーマは「Windows 10」です。

「Windows 10は既に、世界の2億台のパソコンで稼働している」——2016年1月、米ラスベガスで開催された「CES 2016」において、米マイクロソフトでWindows 10の開発を統括するテリー・マイヤーソン氏は最新の数字を明かした。

 2015年7月、鳴り物入りで登場したWindows 10は「最後のWindows」になるという。今後は、Windows 11や12といったメジャーバージョンアップではなく、定期的に無償の機能アップデートを繰り返していくという意味だ。

 マイクロソフトは目下、依然として使われ続ける旧バージョンからWindows 10への移行を急いでいる。登場から半年が過ぎた今、はたしてWindows 10は成功したといえるのだろうか。本記事ではWindows 10の現状とその普及戦略を解き明かしていく。

Windows 10に稼働台数が世界で2億台に達したことをアピールする、米マイクロソフトのテリー・マイヤーソン氏
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8の「失敗」を乗り越えられたか?

 Windows 10に至るまでの、近年のWindowsの歩みを簡単に振り返ってみよう。

 世界に広く受け入れられたWindows XPは、2014年4月のサポート終了を過ぎてもなお使われ続けたことが問題になったほど、息の長いOSだった。

 その次のWindows Vistaはセキュリティーを強化した半面、動作が重くなり、サービスパックによる改善もむなしく短命に終わった。そのVistaをブラッシュアップしたWindows 7はベータ版の頃から高評価で、現在でも企業ユーザーを中心に根強い人気がある。

 この7の成功にも関わらず、マイクロソフトはWindows 8で大改革を試みる。ユーザーインターフェースを刷新し、タッチ対応を中心に据えたのだ。7とは逆に発売前から明らかに不評で、8.1以降のアップデートで軌道修正したものの、Vistaと同じく当初の悪印象を払拭するには至らなかった。こうして成功と失敗を交互に繰り返してきたWindowsだが、この「法則」通りなら、10は大成功してもおかしくないはずだ。

Windows 10ではデスクトップ画面とスタートメニューに回帰した。ただしタブレット端末にも最適化するなど、ハイブリッドな仕様だ
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 2015年7月の登場以降、Windows 10は順調なペースでシェアを拡大してきた。細かな数字は調査によって異なるものの、米国の調査会社Net ApplicationsによればOS全体の約52%をWindows 7が占める。Windows 10のシェアは約12%で、2016年1月にはついにWindows XPを超え、8/8.1に肉薄してきた。

 マイクロソフトが公開する統計データ(https://dev.windows.com/ja-jp/windows-trends)も同様の傾向を示している。Windowsの中で10が占める割合は2015年11月時点で16%。対象地域を日本に絞ると14%とやや低いものの、8.1からの移行は順調に進んでいることが見て取れる。

 その原動力は、Windows 10のリリースから1年間提供される無償アップグレードだ。企業向けバージョンは除くなど条件付きではあるものの、従来のようにパッケージを買うことなく、ネットに接続したWindows 7や8.1のパソコンなら無料でWindows 10にアップグレードできる。

 このペースで行けば、2016年中に8/8.1の合計シェアを超えるのは確実だ。そうなれば2017年から18年にかけて、シェア1位のWindows 7を抜き去る可能性も見えてくる。

 だが、気になるのは、いつまでも無償アップグレードが続くわけではない点だ。予定通りなら、無償アップグレードは2016年7月に終了する。かたくなにアップグレードを拒否してきたユーザーが、わざわざお金を払ってまでWindows 10に移行するかといえば大いに疑問が残るところだ。