バストが豊かであるのは、特に男性の目には「女性らしくて良いこと」のように見える。しかし、当の本人にとって胸が人一倍大きいのは、必ずしも良いことではないようだ。というのも、一番困るのは「服」。“セクシーNG”の職場などで、胸がパッツパツにならずにキレイに着られる既製服がないのだという。

 胸が大きいためにそうしたお悩みを抱える、特にオフィスで働く女性たちに向けて、下着のようにバストサイズから選べる服を提案するアパレルブランドが好評だ。起業した女性社長自身も、実は「Iカップ」なのだとか。どんなブランドなのか、女性のリアルな胸事情データと合わせて注目してみよう。前・後編でお届けする。

豊満なバストのセクシーさを抑える“きちんと感”のある既製服がない

 取材に訪ねたのは、黒澤美寿希代表(31歳)が2016年6月に立ち上げ、ネット通販を中心に展開するアパレルブランド「HEART CLOSET」。初めての実店舗となる期間限定ショップ(※)に足を運んだ。

※そごう・西武が、働く女性向けに手がけるプライベートブランド「リミテッド エディション@office」内への出店。西武池袋本店(東京都豊島区)での会期は2017年10月31日まで。
胸のサイズから発想するアパレルブランド「HEART CLOSET」の代表取締役、黒澤美寿希さん。西武池袋本店に出店した期間限定ショップで話を聞いた
[画像のクリックで拡大表示]

 「バストが豊満な女性の服にまつわるお悩みやコンプレックスの解消を目指す新感覚のアパレルブランド」をうたう黒澤氏。自身も人一倍、胸が大きい。「中3でCカップ、高校卒業のころはたぶんGカップありました」。大学中退後、おもにゲーム業界などの会社で仕事をしたそうだが、20代前半はシャツの胸がパツパツでだらしなく左右にはだける、といった恥ずかしさを回避するため、傍目にはセクシーに映っても胸の開いた服を着た。若いころはそれでも許された。だが、27歳のときにゲーム制作会社の社長に就任。初めての会社設立で社内外への公の役割を担う立場に就いたことが、服装に目を向ける大きな転機となったという。

黒澤美寿希氏自身の胸のサイズは「Iカップ」とのこと
[画像のクリックで拡大表示]

 「やはり、礼儀正しい場ではきちんとした装いが求められる。ところが、胸の大きな人をキレイに見せるのに、セクシー路線でなく“きちんと感”のある服が売り場にないことに気づいた。このとき、既製服に大きな疑問を持ったんです」(黒澤氏)

■胸のカップサイズの豆知識

 ブラジャー製品などで胸の大きさを示すカップサイズは、JIS規格(日本工業規格)で規定されている。バストの最も高いトップ(乳首)を通る「トップバスト」と、バスト直下の「アンダーバスト」の周径の差を算出し、その差2.5cmごとに、ボリュームを標準的に割り出した大きさをアルファベット記号で段階的に設定している。小さいほうから順にAカップ(10cm差)、Bカップ(12.5cm差)、Cカップ(15cm差)……といった具合だ。ちなみにFカップは22.5cm差、Gカップは25cm差、Iカップは30㎝差となる。

画像提供:トリンプ・インターナショナル・ジャパン
[画像のクリックで拡大表示]