「溶接が日常になる。飾りたくなる溶接機」――。こんなフレーズに思わず目が留まった。ネット通販と体験型DIYショップ「DIY FACTORY」を運営する大都(大阪市)が、小型溶接機メーカーと共同開発して2016年9月に発売した「女性向け家庭用溶接機」のチラシのうたい文句だ。女性向けに開発した溶接機は、もちろん日本初である。

 国内のホームセンター業界は売り上げが頭打ちで、競合激化が進んでいる(※注)。そんななか、新たな顧客層として期待されているのが女性だ。ここ数年、いわゆる“DIY女子”がメディアで注目され、テレビや雑誌、SNS(交流サイト)などを通じてDIYに関心をもつ人が主婦を中心に広がりを見せている。大手ホームセンターやDIYショップが運営する初心者向けのワークショップや実技スクールへの参加も、女性が圧倒的に多いと聞く。DIY関連商品は女性好みの色やデザイン、アイテムが増え、女性が扱いやすいようにサイズも小型軽量を意識したものが当たり前のように売り場に並ぶようになった。

(※注)日本DIY協会の推計グラフを参考


 日曜大工の道具といえば、かつてはお父さんのモノ。だが、今や女性の手や感性になじむ工具を開発するほど、業界は女性に熱い視線を送っている。以前に取材した記事「新市場開拓の救世主!? 『ノコギリ』も女性向けに進化させる“DIY女子”」にその先駆的な例を紹介した。そして今、“部屋に飾れる溶接機”まで登場した、というわけだ。

 近ごろは、農業女子の目線で開発した「白いトラクター」が話題になる時代ではある。それにしても、「女性向けの家庭用溶接機」っていったい何なのか。DIY FACTORY二子玉川店で行われた発売記念イベントに足を運んだ。まずは、開発の背景と狙いから探ってみよう。

「日常に溶接を。」とうたう女性向け家庭用溶接機「DIY FACTORY sparky」(スパーキー)。スター電器製造と大都が共同開発した。2016年9月発売で、実売価格は税込み5万6800円前後(画像提供:大都)
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製品に付属するセット一式。上段左から手持ち遮光面、練習用鋼材(厚さ3mmの板×6枚)、デニムエプロン。下段左からノンガス軟鋼用ワイヤー(0.8mm径×1巻)、溶接部スラグ(バリ)除去用チッピングハンマー、溶接材料保持用磁石、革手袋、溶接機sparky本体(重量11kg)(画像提供:大都)
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