本物のバストみたいに揺れる――。「ヌーブラ」はキャバ嬢の必需品としても知られる。2003年に日本に初上陸したシリコン樹脂100%の初代ヌーブラは、そのリアルな質感が注目され、爆発的なヒットを飛ばした。その後も新製品が開発され、ヌーブラは2016年現在10種類のバリエーションをそろえる。

 筆者は2009年にヌーブラジャパンを取材し、「キャバ嬢の必需品『ヌーブラ』、中年女性が“普段使い”するワケ 【その1】」で「なぜヌーブラが役立つか」の解説と、第1弾から当時発売されたばかりの第5弾までの各商品の特徴と進化をまとめた。また、水着1枚になっても“真偽の見分け”が難しい水着用ヌーブラを、「『三角ブラ』がコレで着られる! 水着用『ヌーブラ』新登場【その2】」で紹介した。

 今回は、同社のヌーブラショップ西銀座店を訪ね、ヌーブラの“その後の進化”をシリーズでお伝えする。第1回は「日本人女性のニーズに合わせた進化」、第2回は「水着用ヌーブラの進化」、第3回は「コスプレ用ヌーブラ」を取り上げたい。

2016年ヌーブラのイメージビジュアル(画像提供:ヌーブラジャパン)
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初代ヌーブラはシリコン樹脂100%、いわば手術せずに豊胸する“外付け”のバスト

 そもそも、ヌーブラを手に取る機会がない男性も多いのではないだろうか。

――「ヌーブラ(NuBra)」とは、「ヌード感覚で着けるブラ」を意味する。通常、下着のブラジャーは「カップに収めたバスト」をアンダーベルトと肩ヒモでキープして“美しい胸”を形作るが、ヌーブラにはベルトもヒモもない。シリコン樹脂100%の粘着面をバストに直接張りつけるだけだ。付属物がなく乳房の上だけで用を足すので、見た目にも“ブラを着けていない風”である――(2009年の取材記事「キャバ嬢の必需品『ヌーブラ』、中年女性が“普段使い”するワケ 【その1】」より)
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医療用の代用乳房とまったく同じシリコン樹脂100%の初代ヌーブラ。いうなれば、手術をせずに豊胸する“外付け”のバスト。重さは170g。2003年に日本に初登場し、世間を驚かせた。本物のバストのような肉感がある
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初代ヌーブラを手のひらに貼り付けてみる。垂直な面にもぺたっと張り付き、振っても落ちない

 製造元のブラジェル社(米国)は、乳がんで乳房を切除した患者の代用乳房を医療用に作っていたメーカーで、ヌーブラはその技術を応用した一般製品である。日本の販売代理店であるヌーブラジャパンの堀 徹郎社長によると、シリコン樹脂100%の初代ヌーブラは日本に上陸後、3年目で100万個を超える爆発的な売り上げを記録。その後、第2弾以降は、肌に当てる面のみシリコンを塗布するなどして軽量化しつつもバストを大きく見せるものや、逆にバストが大きい人向けなど、ニーズに合わせた各種タイプを開発。現在でも、年間およそ30万個を販売する。

若い女性は「肩出し」や「盛る」ためのヌーブラ利用が圧倒的に多い

 ヌーブラは、肩ヒモもアンダーベルトもない。30~50代の女性は「締め付けがなくてラクだから」という理由で普段使いをするリピーターが多い。一方、新規客の中心層である20代女性は、「特別なときだけ使うことが圧倒的に多い」(堀社長)のが特徴だ。「ドレスを着るから」「水着を着るから」「コスプレするから」といったイベントのためにヌーブラを必要とする。今年は、肩の開いたオフショルダー人気で例年以上に販売が好調だったそうだが、それも若い女性が露出度の高いパーティードレスで着飾りたいのと同じと分析する。

<ヌーブラの正しい着け方>
動画提供:ヌーブラジャパン

飲み屋街では、ヌーブラはコンビニで売れる

 シリコン樹脂100%の初代ヌーブラは女装好きにもよく売れるという。「アダルトショップでめちゃくちゃ売れるんですよ」(堀社長)。「銀座店にも、男性の方が女装した姿で普通にお見えになります。女の子として接客を受けるのがうれしいのだと思いますね」(店舗管理の角田絵梨さん)。そして「重ね付け」で工夫するのだという。「男性は身幅が広いので、ヌーブラ1個だと“寄り目”のおっぱいになっちゃう。上に乗せるほうのサイズを1段上げるなどして2個ぐらい付けないとバストの円周と身幅が良いバランスにならないんです」(角田さん)

“外付けのバスト”としてヌーブラを2個重ね付けすると、このぐらいのボリュームになる
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重ね付けする場合、上に乗せるほうを1段大きなサイズにすると自然になじむそうだ(分かりやすいように、ややズラして撮影)
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 ちなみに“2個付け”するのは男性ばかりとは限らない。「女性でも夜のお仕事の方は2個付けする方がすごく多いですね。さらに、その上にブラジャーを着ける方もいます」(角田さん)

 面白いことに、歓楽街にあるコンビニではヌーブラがよく売れるそうだ。ただし飲み屋街を外れた隣町では売れない。「キャバ嬢にとってヌーブラは仕事道具。緊急性があればコンビニで買う。ところが、その需要から外れたコンビニではまったく売れない。この商品の面白さってそこだと思うんですよ」(堀社長)。なるほど。

店舗管理を担当する角田(かくた)絵梨さん
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